誰かにちょっかいをかけるのが癖になったのはもっと昔からだ。
でもそれを他人に気づかれるような真似はしたことがない。
あくまでもこのいたずらは気まぐれなものであり悟られないようにするのはスリルの内。


「お、名前先輩」
『うわ狩屋』
「相変わらず失礼っスね」
『アンタがそんな態度だから悪い』


登校道中見慣れた背中に声をかければ予想通り嫌そうな顔をしてこちらを振り向く名前先輩。
いいねそういう表情、面白くって。
ま、それ狙いでちょっかい出してんだけど。

隣に並んで歩こうとすれば引き離そうとしてるのか心無しか名前先輩の歩幅が早くなった気がする。


「先輩ガキですか」
『うっさい狩屋離れろ』
「そう言われると離れたくなくなるんですよね」

『あんたこそガキじゃないの』
「そりゃー先輩より若いですから」


俺に反発しれか歩幅は小さくなった。
…どこまで俺に対して天邪鬼なんだ。


『……憎たらしっ』


さて先輩、これはわざと俺に聞こえるように呟いたのかそうでないのか。
しっかりばっちり聞こえてしまったからまだまだ反論は可能だけど特別に聞こえなかったことにしておこう。
目を合わせることも億劫なのか名前先輩と視線の交わらない。

別に合わせる理由もないので道端を見ていたら今日の可愛い"イタズラ"に使えそうなものを発見。

ちょっと隣から離れてそれを一本拝借してくる。
隣から俺がいなくなったことに特に何も反応をするわけでもない名前先輩はむしろ一瞬俺がいなくなってしめたとでも思っていることだろう。
でも残念。すぐに戻りますよ先輩。
少し距離の開いて、少し前にいるさっきも見た先輩の後ろ姿を今さっき拝借したもの片手に追いかける。


『スキあり』
「いたっ!!」


スキ丸出しの名前先輩の頭を後ろから小突いてやった。
予想通りなんの警戒もしてなかった為クリーンヒット。ペシンと景気のいい音を立てる。


『何すんの!』
「スキだらけな名前先輩が悪いんですよ〜」

『狩屋ー!!』


おっと、次は俺が追われる番かな。
勿論捕まる気もないし自分が捕まるとも思ってないけどね。

しょうがないから捕まりそうで捕まらないような距離保っておいてあげますよ、先輩。
(さぁ、名前先輩はいつあのイタズラに気付くかな)








マサキくんはいたずらっ子

(苗字、頭の後ろに何か付いてるぞ?)
(え?嘘まさかまた狩屋が………って、花?)

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