中庭で南條に会ってから、俺の中の南條の印象は随分変わった。
なんつーか、不良じみた訳分からない奴だと思ってたが意外にも単純な奴だと思う。
本人的にはバレてないつもりなんだろーが思ってれことの正反対を口に出しているのが見事にバレバレだ。
(俺が猫抱いた時のあの顔で羨ましくないと言われたって何の説得力もない)
しかもあのトマトみてぇな赤い顔。
わかりやす過ぎて思い出したら笑いが込み上げてくる。


「どうした急に笑い出して」
「悪い三国、何でもねぇ」
「?」


授業中だって事を忘れるぐらい印象付いてしまった南條の言動行動に俺はもう一回笑っておいた。

左斜め前の席は今日も空席だ。








「やっぱここか」
『みっ、南沢!?』


中庭にくればこの前も見た戯れる猫と南條の光景。
後ろから近付いてやればビクリと反応を返す。


『……何しにきたの』
「俺はたまたまここに来ただけなんだけど?そう言う南條はどうなんだよ?」
『うっ…た、たまたまよ』


たまたま、を強調して言えば南條は押し黙った。
扱いやすい奴。
自分が言った事で墓穴掘ってるって気付けよな。


にゃおん


鳴き声を漏らす猫が俺の足元に擦り寄った。
別に悪い気はしない。
あえて言うなら南條の残念そうな顔を見るは少し楽しい。
なんつーか、優越感?



『ちょっと南沢。放しなさいよ』
「コイツが寄って来るんだろ」
『……』



無言になったかと思えば南條はどこからかガサリとスーパーの袋を取出した。
すると猫が南條へ飛び込んでいく。その南條の顔は酷く勝ち誇った顔だった。


「なにそれ」
『猫用ミルク』
「……買って来たのか」
『ち、違うっ!たまたま見かけたから買っただけ!』


出た。"たまたま"見かけた。
でもちゃんと皿を用意してるのを見ると絶対にわざわざ買ってきたんだろ、それ。
にゃあにゃあと催促をする猫に南條がミルクのパックを開ける。



『こら、そんな急がなくてもあげるから』

「…お」
『?……なに?』
「いや…」



南條もそんな顔するんだな




何気なく言った言葉。
嘘はついてない。いつもの南條は無愛想な顔をしているがこうしていると普通の"女子"の顔をしていた。


「いつもそうしてた方がいいと思うぞ」


南條は顔を真っ赤にしてパックを取り落とす。
そんなこと言われ慣れないのか。
(不良っぽいけどコッチには免疫ないんだな)




『余計なお世話よ!』




顔を真っ赤にして猫にミルクをやりる南條に素直じゃねぇなと呟いた。








素直じゃない奴
(恥ずかしがってる時なら可愛いげもあるってのに)

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