いつも通りに猫に会う為に中庭にやって来た。
でもいつもの場所にあの子はおらず。
どうしたんだろうと思っていたら頭上からにゃ、と小さな鳴き声。
か細い声に上を見上げれば木の上にいるのが伺える。
まだ小さいから降りられなくなってしまったんだと思う。

慌てて自分も木に登って猫を救出した、そこまでは良かった。
でも助けるのに必死で頭から抜け落ちていた事が1つ。


『(私も降りれないんだった……!!)』


しかも腕の中には猫。
まさに八方塞がり。
周りに人はいないしいたとしても助けは絶対に求めない。
そんなの私のプライドが許さない…!


『(どうしよう……)』





バキッ

『はぇ!?』



足場が急になくなった。
いや、折れたと言った方が正しい。



『きゃぁあぁぁぁああ!!!』



猫を下敷きにしないよう背中を下にする。
細い枝が折れていく中で腕の中の猫を必死に守った。


  ドサッ


『いったたたた』



お尻から思いっきり地面に落下。(うわぁぁ恥ずかしい!!)
いつの間にか私の腕から猫は飛び出していた。
…暢気なものだ。
猫は無事なようだけど私が無事じゃない。



「……水色ストライプ」
『へっ!!!!????』



誰もいないと思ってお尻を摩っていたらズバリ聞こえた自分の…その、下着の柄…!!
スカートを押さえ付けて後ろを振り向くとそこにはこっちを物珍しそうに見ているクラスメートの南沢。



『み、見た!?見たの!?南沢っ!!!』
「見たくて見たんじゃねーよ」


失礼な!!
言いたかったけど恥ずかし過ぎて声は出なかった。
み、見られた…!


「なんでこんなトコにいんだ」

女子のクラスメートの中を見て動揺もしないなんて可笑しいコイツ可笑しい!
モテるんだろうからそんな事には慣れてるってか!


『それはこっちの台詞でしょ!私は……!』


どうにもネコに会いに来たというのは恥ずかしい。
上手い言い訳を考えられず口ごもっていると足元にふわりとした感触。




にゃあ




ー良かった、無事だったんだ。
ホッとしてると南沢がいることに我に帰った。



『勘違いしないでよ!?別に猫が好きだからとかこの子懐いたとかそんなんじゃないから!たまたまここに来てたまたまこの子がいただけなんだからね!』


少し間が開いた。
ち、沈黙が痛い。ついでに顔が暑い。
今すぐ走り出したいけどそれも釈だ。


「……随分懐いてんな」
『ま、毎日来てるとかじゃないから!』


足元に擦り寄る猫。やっぱり可愛い…っ
きゅんとしたものの南沢がいる手前猫には触れられない。
私が動物好きだなんて…知られたくないし恥ずかしい。

元気に鳴き声をあげて南沢に近付く猫。
いやそんな早く懐く筈ない…だって私だってその子に触るのに一週間かかったっていうのに。

にゃ
「おっ」
『!』


南沢に擦り寄る姿に思わず硬直する。
な、なんでなんで…!


「羨ましいか?」
『べ、別に!』


プルプルしながらその様子を見ていたら南沢に鼻で笑われた。





好きだけど嫌いなの!

(誰も猫が好きなんて言ってないでしょ!)
(ふーん?)
((あぁぁ南沢狡い!))


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