学校に行くことを決めたはいいが流石に黒スーツで行くわけにはいかないので、いつ以来だろう制服に身を通す。
剣城は指定じゃない制服を着ているがそこは一応真面目でいることにした。
とは言ってもちゃんと制服を着る気はない。
咲夜がフィフスセクターである以上若干着崩した制服は学校側からは注意は出来ないだろう。

それを分かった上で制服のギリギリ認識できるような格好で歩道を闊歩する。



『(さて…今日の分の書類は昨日終わらせた…黒木から面倒な書類がまわされてなければいいが)』



中学3年生に似つかわしい思考のもと、肩からずれた教科書など一切入っていない鞄を持ち直す。
事務仕事も楽ではないため増やされるのは遠慮したいところ。
学校に行っている間に仕事を増やされていたらまた学校は行きたくなくなるだろう。


『(ま、私の"本当の仕事"ではないからいいのだがな)……お』


黒い思考は頭の隅へ追いやって前方に見えた特徴的学ランに笑みを零す。


『や、剣城少年。おはよう』
「!咲夜さん………」


咲夜の制服姿が珍しかったのか、道端で咲夜に合うと思っていなかったのか、剣城の瞳が見開かれた。

上から下までを見回して改めて咲夜と顔を合わせる剣城。
その様子が面白かったのか咲夜は笑う。


「学校…行くんですか?」
『おや、学校の話を私に持ちかけたのは君だろう』
「ただ学年聞いただけですけど」

『はっはっは。きっかけが君だって話さ』


隣に並ぶ剣城が複雑な顔で咲夜を見やった。
他愛の無い会話が続き学校までの道のりを笑いながら歩いていく。
そして雷門が少しずつ近づいてきた時、咲夜がピタリと足を止めた。

何かあったのかと剣城も足を止めれば咲夜はいつものように笑ったままで言う。


『…剣城少年、ちょっと私は遅れていくことにしよう』
「……何か問題でも?」

『おや、私との関係を誤解されたいなら話は別だが?』
「…!」
『どうする?私は別に構わないが』
「………先に失礼します」


スイッと咲夜の横をすり抜けていった剣城。その背中を完全に見送り、足を踏み出すのかと思えばそうでなはない。

そう。咲夜が剣城から離れたのには理由がある。

不意に感じた鋭い視線。
剣城は気付いていないようだったかが咲夜は気付いていた。



『さぁ邪魔者は私が払ってやったぞ。そろそろ出てきたらどうだい?』

「……相変わらず鋭いですね」



死角のはずの背後の物陰から姿を表した1人の人物。
振り返らずとも見覚えのある姿が後ろに立っているのだろうと咲夜は予想して彼に声をかけるのだ。




『久しぶりだな白竜少年』






波乱の再会

(あの殺気に気付けないとは…剣城少年もまだまだだな)

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