『……学校…か…』


数日前の剣城少年との会話で、少し学校というものの考えを改めてみようと思った。
既に綺麗に掃除した消し炭。
燃やしたのは数年前に全て頭に叩き込んだ数式や漢字の羅列した教科書だ。

あれはもういらない、過去もの。

無意味な文字の羅列は戒めと共に。

覚えたって人生の役に立たない数式の数々。
文字の羅列は読めるだけで十分であるのにそれ以上を求める意味があるのか。
人類が誕生してから現在までの長い時間を全て紙切れに纏められた、史実の分厚さなど無視した薄っぺらい知識は馬鹿らしいと一蹴しつつ頭に収めた。


あの学び舎になんの意味があるのか。
生徒と教員の"嘘っぱちな真面目"を作り上げるあの教室が大嫌いだった。
私のようにサボりがちな生徒であっても、テストの点数さえよければ何も言われない。
生活態度が気に入らないなら言えばいいのに私の後ろ盾に怯えて教員は何も言わない。

気に食わない。実に気に食わない。

私が言葉巧みに人を避けるのにはそれなりの理由があるからだ。
第一に私自身が"人間"が嫌いだということ。
ある種これが一番大きい理由だと思うが改善のしようがないのだからしょうがない。
(誰にでも好き嫌いはあるものだろう?)


『…剣城少年の学園生活でもリサーチしてみるか』


私はこれが建前だなんてこれっぽっちも思っちゃいないのさ。

自分のことは自分が一番よくわかる。
確かに私は学校が嫌いで、人間が嫌いなのだから。


pppppppp

『!……タイムリーだな』


鳴り響いた私の携帯電話のディスプレイには剣城少年の文字。
タイミングでも図っていたのではないかとも思うが彼にそんな技量はないだろう。

通話ボタンを押し、携帯を耳に当てる。


『もしもし、どうした剣城少年』
「咲夜さん、…今日はそっちへ行けません」

『そんなことか。了解した』

「そんなことって…そんな適当で大丈夫なんですか」
『はっはっは。大丈夫だ問題ない』
「…どこかで聞いたことあるようなワードですね」
『きっと剣城少年の気のせいさ』


ギシリと音を立ててソファに身をあずけ、剣城少年との通話が続く。
先程も述べたが、私は人と関わることはあまり好きではない。

それなのに、何故だろうな。

なぜか剣城少年は放っておけなくて、自分から弄りに行ってしまう。
柄でもないとは自分でも思っている。
繋がりなどとうに断ち切ったと思ってしまっていた。
なのにどこか繋がろうとする馬鹿な私。

どういうことなんだろう、自分でもよくわからない。

そんな自分に小さな嘲笑を1つ。



「どうかしたんですか」
『いや、なんでもないよ。………あぁそうだ剣城少年』
「なんですか」

『明日私も学校に行くよ』
「…はい?」



相変わらず新鮮な反応だな。
思いながら私は携帯の通話ボタンを切ったのだった。







電話越しの嘲笑

(さぁ明日が楽しみだ)
(明日学校で会って、彼はどう反応をしてくれるかな)

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