"午前中は晴天ですが、今日は午後から天気が崩れていきー……"

そんな平凡な天気予報を聞かなかった私が悪いのか。
それとも現在進行系で降り続いているこの雨が悪いのか。
とりあえず、この問いかけをするならば10人中10人が私が悪いと言うだろう。私以外は。

生憎の雨模様に朝の天気予報を恨むしかない私。
いつもなら帰りなら濡れてもいいかと走って帰るところなんだけど、買い物中の身である今は荷物を濡らすことはできず立ち往生するしか選択肢がない。
しょうがないなーと買い物袋とは別の鞄を開けてケータイを取り出す。
着信履歴に目的の名前はなく、私がいつも一方的にかけているのがこの履歴だけで見て取れる。
わざわざアドレス帳から探すのが面倒で、発信履歴にだいたいの確率で残っているあいつの名前を発見しリダイヤル。

しばらくの発信音の後、ガチャりと電話を取った音。
ディスプレイに映る私の名前を見て嫌悪感でも抱いたのだろう。
物凄い気だるそうな声が聞こえてきた。


「……もしもし」

『あ、もしもしマサ「だが断る」
『まだ何も言ってないし』

「…まだってことは何か頼む気なんだろ」


なんとなく私の魂胆はバレているらしい。
弟のマサキはいつからこんな反抗期に入ったんだか。
でも…そりゃあんだけこき使ってればそうにもなるか。
(それでもこき使うんだけどね)


『傘持ってきて』
「言うと思った。面倒くさい無理」
『夕飯作らないよ』

「……」


と、ここでマサキとの会話は音信不通。
あらら切られちゃったか。


『さーて、マサキは来てくれるかね』


しばらくスーパー入口で雨宿り。
マサキは私が買い物に行ってることは知ってるし、近所のスーパーだし買い物はいつもここだからわかるとは思うけど。
スーパーの中でもう一度物色をしてもよかったんだけど無駄金は使いたくないしマサキが来たとしたらわからないだろうし。
ケータイの時計は現在16時ジャスト。このスーパーまで歩きで10分弱ぐらい。
優秀な弟は来てくれると信じて30分ぐらいまで待っておこう。


『!マサキー』


遠くに見えた見慣れた傘に手を振る。
あの深緑の傘は私が珍しくまともに買ってやったプレゼントだ。
そしてもう片方の手に私の傘。


「ん」
『よしよしありがとう』
「…頭撫でんなっ」
『そう言わない。トッ●買ってあげるから』
「また●ッポかよ」


無愛想な顔でそれを差し出したマサキの頭をわざわさと撫でる。
雨の湿気で若干しっとりとしている髪に、私も今こんな感じになっていることだろう
と予想して帰ったらすぐに風呂だなと決定。

なんやかんや言って傘を持ってきてくれてトッ●を奢られ。


「2箱な」
『調子乗るなよマサキ』


受け取った傘でマサキをシバき、私はこっそりトッ●を2箱買って帰るのだった。








雨の日の買出し模様

(うんうん優秀な弟だ)
(…姉貴はぜってー優秀じゃねーけどな)
(夕飯抜くよ?)

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なんでマサキはこのお菓子ネタに走ってしまうのか…




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