「アンタ達全員シャーリーと顔見知りだったなんて先に言いなさいよ!確かに最近シャーリーがウチに出入りしてるって噂は聞いてたけど……バーナビーだけじゃなくまさかヒーロー達に会いに来てたなんて…!シャーリーがアンタ達に知れ渡ってたとなるとこんなに視聴率的に美味しいことはないわ!これからはシャーリーとヒーロー達の組み合わせでもバンバン特番組んでいくわよ!」
「ちょっと待ってくださいアニエスさん!シャーリーとの特番を組むのは大いに結構なんですが僕と女性ヒーロー以外の方と組ませるのは反対です!」
「うるさいわねバーナビー!HERO TVの出番減らすわよ!」
「クッ…!」

「(不毛な大人の争いだなぁ…)」
『(虎徹さん、どうして私の耳を塞ぐんでしょう…)』



そんなやり取りがあったのは数日前の話。
同時にジャスティスタワーにシャーリーの出入り自由が認められヒーローとの関わりを露にしてからしばらく。

アニエスの企画によりヒーロー達とシャーリーの特番が組まれ始め、バーナビーは悪い虫払いに追われる事になるのだがシャーリーは全くそれに気付かない。

元からバーナビーの妹として注目されていたが、モデルの仕事に加えテレビオファーの仕事が増えた為忙しい日々を送ることとなった。
だが仕事が貰えるのは幸せなことだ、とシャーリーは泣き言を何も漏らさないでいる。
容姿は勿論、テレビ番組で露になってきた性格の素直さからかファンも増えるは増える一方バーナビーの気苦労は耐えないのだか虎徹はそれを諌める気はサラサラなかった。

自立している20歳の妹へのシスコンに対して何も言うことはなく、口から漏れるのはため息だけだ。


「シャーリー、明日は確かブルーローズさんと歌番組ですよね」
『そうですよお兄様っ!私の企画書もアニエスさんに通してもらったんです!』

「明後日は僕とオジサンとテレビ…明明後日は……」
「…バニー。なんでシャーリーの予定お前が把握してんだ」
「当然でしょう?」


メガネのブリッジを押上げ見事なドヤ顔をかまして見せるバーナビーに虎徹は寒気すら感じたという。


『それに、ブルーローズさんに合わせるためにヒーロースーツモデルの衣装をオーダーメイドしていただいたんです!』


それも束の間、バーナビーのメガネにピシリとヒビが入るような音がした。
虎徹の表情にも少し疑問が浮かび、固まってしまったバーナビーの変わりに2人がが思ったであろう事を虎徹が代弁することに。


「まさかそれ…アポロンの斎藤さん?」
『はい!』

「シャーリーがヒーロースーツ…?しかもブルーローズさんに合わせるため…?ハッ、もしもブルーローズさんの様にあんな露出が多かったら僕はどうすれば…!?もう番組を放送できないように手を回すしか…」
「いや待て待て待てバニー落ち着け。とりあえず落ち着け」
「僕はバニーじゃありません。そして落ち着けません貴方自分の大事な妹が全国ネットで露出丸出しにされるんですよ落ち着いていられる方の頭がおかしいんです。しかも斎藤さんだなんて…変な機能がつけられていてもおかしくない…!」

「…シャーリー?その衣装って…その、どんな感じ?」
『衣装ですか?私の衣装はお兄様のヒーロースーツのデザインをもとにしてもらったんですよ!』


カバンからごそごそとデザインの描かれた小さなスケッチブックを取り出し、嬉しそうにそれを手渡した。
が、光の速さでそれを奪い取ったバーナビーがぱらりと表紙を捲る。

瞬間再び時間を止めたように固まったバーナビー。
何事かと虎徹が後ろからバーナビーの手にあるスケッチブックを覗き見た。


「おぉ、案外普通じゃねーの?バニーなんで固まってんだ?」
「可愛過ぎる」
「あーはいはい」

『私的にはここが好きなんです!』


バーナビーの小声の欲望はさて置き。
シャーリーが指さしたスケッチブックの一部は頭のすぐ横を指していた。
ヘッドフォンのようになっているその耳元。

それはまるで昔に虎徹がバーナビーに指摘した………



『耳が兎みたいで可愛いでしょう?』



笑顔で意気揚々と語るシャーリーに、バーナビーは自分のヒーロースーツグッジョブと全力で思っていたとかいなかったとか。






衣装は僕とお揃いでお願いします

(これです…これですよオジサン。これぞ僕の求めていたものです)
(ちょっと黙ってくれやバニーちゃん)
(もうこの際バニーで構いませんシャーリーが喜ぶなら)
(なにこの子怖い)

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