ヒーローたちのCDが発売されてから数日。
シャーリーは勿論、身内であるバーナビーの歌う曲も収録されているためそれを買っ
て聞いた訳だが。


『やっぱり虎徹さんとアントニオさんは渋いですね〜』

「だろ?だろ?それが大人の魅力ってやつだ。オジサンとデュエットでもしてみ
る?」
「…調子に乗るとそんな魅力微塵も感じねぇぞ」
「そういうところがオジサン臭いんです」
「うるせぇ!!」

『…デュエットかぁ…』


トレーニングルームにやって来たシャーリーが揚々と歌の感想を口にする中、カリー
ナは一人そわそわしながらその様子を伺っていた。
その様子を見ていたバーナビーのメガネがキラリと光る。
シャーリーに対する視線は常にチェックしている様だ。

なんて末恐ろしいシスコンと言ってしまえば彼のヒーロー像はズタボロになることだ
ろう。
そんな視線に全く気付くこともなくシャーリーはカリーナの元に笑顔を向ける。


『私、デュエットならカリーナさんとしてみたいです』
「「「え」」」

「ほっ、ホントに!?」『はい』


シャーリーはモデルとして世間に出ているものの歌唱力に対してもバーナビーに並び
カリスマ的才能を開花させていた。
世間でも有名なシャーリーの歌だって何本もある。
そう。それはまるでカリーナの目指すアイドルの像に少なからず重なっている。
故にカリーナはシャーリーにひどく尊敬の念を抱いていた。


「嘘みたい…!あのシャーリーにそう言って貰えるなんて……!」
「おぉ、よかったなーブルーローズ」


不自然なほどシャーリーを見つめていたのは、自分の歌を聞いて欲しかったから。
思っていた矢先にまさかのデュエットの申し出。


「なんならアニエスの奴に企画書でも持ち込んだらどうだ?」
『あ、じゃあ私からも持ち込んでみます?』

「え…まさか本当にするの?」
「しないんですか?シャーリーが誰かとコンビだなんて滅多にないですよ」
「す、するわよ!」


「女性ならまだ…」
『お兄様何か言いました?』
「いいえ何も」


そうと決まれば意外にトントン拍子に進んでいく話。
メディアとしてもヒーローの妹、トップモデルのシャーリーとヒーローアイドルであ
るカリーナのアイドルコンビに意義を唱える者などいなかった。
これほど美味しいコンビが生まれるとは願ってもいない格好の餌でもあった。
コンビ名は、唄は作詞はとカリーナとシャーリーはいろいろな仕事に追われることに
なる。


「…こうして見てると仲良し姉妹みてぇだな」

「………私と?シャーリーが?」
「…シャーリーは僕の妹ですからね」

『でも、カリーナちゃんみたいな妹なら私歓迎しちゃいますよ』


ふふ、と笑うシャーリーに、バーナビー・虎徹・カリーナはなんで見慣れてるはずの
顔なのにこんなに違いがあるんだろうなんて至極恐ろしい遺伝子を感じていた。






Sing our song!

(バニーちゃん……ホントにお前シャーリーの兄貴かよ)
(当たり前じゃないですかぶっ飛ばしますよ)

(…嘘だと信じたいわ……)

_



- ナノ -