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※蘭丸変態キャラ崩壊注意
「おはよう名前。今日も相変わらずいいケツしてるな!」
まだほんのり暑い朝からゾワッと全身に鳥肌が立つ。
そして同時に家で食べる時間がなくて銜えていたパンが落ちた。
(きっとそれはアリさんのご飯になってくれるだろう)
「なんだ?そんな顔して…あ、もしかして誘ってるのか?」
『殴るよ?』
「じゃあその安産型のケツで俺の子を産んでくれ!」
『よし蹴りにレベルアップな。歯ぁ食いしばれ』
「じゃあケツ触らせてくれハァハァ」
『もしもし警察ですか』
「それだけは勘弁してやってくれ」
『あ、神童いたの』
なんで朝からコイツに会うんだ最悪だ。
霧野蘭丸。可愛い顔して言うことは完全にセクハラ。オープンセクハラ。死んでくれ頼むから。
無表情でケータイを構えた私を止めたのは神童だった。
だが彼はサッカー部のこともあるからさすがにそれだけはやめてくれと言い残して逃げていった。
ちくしょうあいつもこの変態には関わりたくないってか白状者。
「さすが神童…わかってるな」
『なにが』
「さあ行こう俺たちの愛の巣に!」
『帰れ。そして私に学校に行かせろ』
ここまで思考回路がぶっ飛んでいるとこいつの頭を一回割って見てみたいとすら思う。
むしろその辺に落ちているコンクリ材でかち割ってやりたぐらいなんだけど神童の頼みだそれはしないでおいてやろう。
「今日も釣れない態度だな…そんなところも萌える訳だが」
『お前の口から萌えはアウトだろう』
「さぁなんのことですかテへペロ☆」
『ダメだコイツ早くなんとかしないと』
鳥肌だけじゃなくてなんか嫌な汗吹き出してくる。
語尾に☆がついてきたらアウトだって水鳥ちゃんが言ってた。
だから私は逃げる。さようなら!
「名前…もしかしてあの"おい待てよー""うふふ、捕まえてご覧なさ〜い"と言うアレなのか…?そうなんだな!」
『えぇぇもう面倒くさいお前爆発しろよ!』
全速力で坂を駆け降りる私の後ろを物凄い笑顔で追いかけてくる変態。正直かなり気持ち悪い。
どんどん加速していくスピード。後ろを向いたら距離は徐々に縮まってきていた。
爽やかな笑顔が気持ち悪くて堪らない。
「おい待てよー」
"捕まえてご覧なさ〜い"
…とでも言うと思ったか馬鹿め!!
無言で坂を駆け抜け最高速のまま道を走り抜ける。
…と見せかけて
『急ブレーキ!』
「うぉっ!?」
がっしゃーん
…ざまぁみろ…!
霧野が私の横をトップスピードで駆け抜けて目の前の壁に突っ込む。
思いっきり突っ込んだためか気を失っているようだ。よくやった私。
『…でも…ま、私のせいで怪我した上に遅刻したって思われるのも釈だし』
目を閉じて何も喋らなければいい奴なのに、と思いつつ私はカバンからハンカチと絆創膏を取り出す。
絆創膏をハンカチでくるんでそれと一緒に私のなけなしの優しさを霧野の顔面に叩き付けておいた。
公認ストーカー
(名前。今朝はありがとう)
(…あれ、霧野がまともにお礼を…?)
(あのハンカチは俺の今晩のオカズに(爆ぜろ)
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