サッカー界で知らぬものはいないであろう帝国学園サッカー部。
帝国学園総帥鬼道有人、そして監督の佐久間次郎と言えばサッカーに火をつけたイナズマジャパンのメンバーで憧れを抱く部員たちも少なくない。
現在でもそのゲームメイクの能力は劣ることなくむしろ磨きをかけて現帝国学園のサポートへと回っている。

その鬼道がサッカーを取り戻すレジスタンスとして雷門中学で行動することになった。
勿論それは佐久間も受け入れていることでありその間帝国を任されたのも事実。



「ふぅ……」



ギィ、と椅子に腰掛け、佐久間は山積みになった書類とデータの整頓をしていた。
元は鬼道と2人でやっていたこと。
サッカー界の未来の為とは言え目の前に積まれた仕事のを消化してくのはキツイ。

重くなった肩を回し首も軽く動かしてみる。
短期間でかなり重くなった肩は同時に仕事の重みを感じさせられる。
あと少しとなった紙の束、データを集めたパソコンを開きもう一仕事と思い佐久間が意気込む。


『かーんとくっ!』
「な…、苗字!」


背後から忍び寄っていた名前に気付いていなかった佐久間は突如現れた年の離れた彼女に思わず身を縮ませた。
両肩に置かれた名前の手が重くなった肩の荷を少し持っていくような感覚に襲われる。


「今日は遅いから帰れって言っただろ」

『でもまだ終わってないんですよね?データ処理なら手伝えると思って!』


名前は帝国学園のマネージャーであり女子にしながらなかなか優秀な能力を持ち合わせている人物であり鬼道も、勿論佐久間も絶対の信頼を寄せている程である。
かと言って外はもう大分暗くなっている。
夜道を女一人で返したくないと言う思いで早く返したというのに…、佐久間が先ほどとは違うため息をつく。


『迷惑です?』
「いや…そりゃ苗字がいれば楽だが…」
『ならいいですよね!パソコンお借りします』


言っても無駄なことを理解している上で佐久間は手伝いを了解した。
佐久間の言葉に名前が手慣れた手つきで机の上のパソコンを自分のもとに引き寄せ作業を開始させる。

その表情は真剣そのもので、佐久間は邪魔をせぬよう隣で書類の整理を始めた。

2人で作業を進めていればさすがに終わり目前だった仕事はあっという間になくなっていく。
乱雑にばらまかれていた書類も佐久間の手によって整頓され、データは名前によって纏められていく。


『終わったー!』


バッと両手を天に伸ばして伸びをする名前。
佐久間の方は終わったのかな、と隣を見ればそこに佐久間の姿はない。


「お疲れ」
『っひゃ!』


視線を右往左往させていた矢先頬にヒヤリとした感覚が走った。
振り返ればそこには冷たい炭酸飲料とコーヒーを片手に立っている佐久間がいて、もーと名前が声を漏らす。
買ってきてくれたのであろう炭酸飲料を受け取りプルタブを引けば軽快な音が部屋に響く。


『ごちそうさまでーす』

「ま、バイト代ってところだな」
『えぇ〜……あの量のデータまとめでこれ1本ですか…』
「不満か?」
『若干』


間髪入れずキッパリと言い張る。
助けを申し出たのは自分とはいえ手伝ったのは事実なのだからもう少し見返りが欲しいところ。


『まぁ監督と一緒にいれたし、それで我慢します』


そう言って笑う名前との距離を徐々に佐久間が縮めていく。





「なら、足りないバイト代はコレでな」





刹那にちゅ、と唇に感じた佐久間の体温に手に持った缶に熱が伝わっていく感じがした。






プラスマイナス、やっぱりプラス

(あぁもう、監督ってば狡いんだから!)

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