_


※禿様宅雛菊ちゃんとのコラボ
※拙宅南沢中編夢主



























「今日私の家に夕飯食べにおいでよ!」

「『はぁ?』」




そんな会話をしたのが数刻前。
クラスメイトである緑川雛菊に半ば強制的に腕を引かれ、南沢と名前は強引さにため息をついた。

南沢と名前は付き合っている。
ツンケンした名前を手懐け彼女の性格をを知り尽くした南沢が付き合い始めたのはつい最近。
人をあまり寄せ付けない筈の名前に一方的な好意を抱きそこから南沢にも絡み出した雛菊は結果このカップルにひっついて回っていた。

若干その所為で名前と2人の時間を邪魔されていることに不満を覚えていることもあるがなんだかんだで南沢も雛菊のことを許している。


「今日はお兄ちゃんに名前ちゃん達のこと言ってあるからご馳走だよー!」

「…お前って兄貴いるんだな」
「そうだよ!」
『……なんか意外』


雛菊の家までの道のりを知らない為不本意ながら名前は雛菊に手を引かれながら歩く。
振りほどいても振りほどいても無駄なネバーギブアップ精神を働かせ手を繋いでくるという予想はついているため名前は雛菊の手を解くことはなかった。

正直南沢も今すぐにでも手を引きはがしたかったが仮にも雛菊は女であるためそれもできず。
そして人に懐かない名前が表には出さないが唯一心を開いている女子として雛菊との関わりを持っていることを知っているので尚更行動には移さない。



「兄妹はお兄ちゃん一人だけど一緒に暮らしてる人はいっぱいいるよ!」
『一緒に暮らしてる?』

「うん!私の家孤児院みたいなもんだからさ。あ!ここだよ!」


「"お日さま園"……?」



「お兄ちゃんただいまー!!友達連れてきたよー!!」
『ちょ、雛菊…!』



バンッと音を立てて孤児院ことお日さま園に駆けて行く雛菊に、手を繋いでいる名前は必然的に引っ張られていく。
南沢はやれやれと言った様子で後ろから悠々と歩いて来ていた。


「おかえり雛菊!準備はでき……て…」

『…は、じめまして。苗字名前です』


雛菊と同じ明るい黄緑色の髪。
ポニーテールにされた髪に同じ色の瞳は確実に雛菊の兄だと思って間違いないだろう。
人と接すること自体が苦手な名前にとって初対面の人間。しかも友人の血縁者と言えば更に緊張は増す。
顔があった途端若干どもってしまったもののぎこちなく自分の名前を告げる。

若干の間。
名前の額から気まずい汗が流れたがその横で雛菊は満面の笑みを浮かべている。


「ヒナがこんな可愛い友達を連れてくるなんて…!」

『は?』

「そうでしょ!名前ちゃん可愛いでしょ!」
「あぁ!これなら腕を振るったかいがあったってもんだな…!」
『え、ちょ、あの…』

「俺は緑川リュウジ!いつもヒナがお世話になっててごめんね!」

『はぁ…』


兄も妹も人の話を挟まないマシンガントークが炸裂。
リュウジに両手をバッと握られ詰め寄られ、雛菊に背後から抱きつかれる。
なんだこのサンドイッチと思った時不意に開く入口。



「オイ名前、緑川。あんま先行くなよ…つか何してんの」
『あ、篤志…』
「あ、ごめん篤志!早く名前ちゃん紹介したくってさ!」
「俺はどうなってんだ俺は。さっさと離れろ」


名前の背中に引っ付く雛菊を引き剥がす。
するとバチッと前方に立っていたリュウジと南沢の視線がぶつかった。


「…君は?」
「お兄ちゃん!こっちは名前ちゃんの彼氏で南沢篤志って言うの!」

「ども。で、さっさと名前から離れてください」

「…ほほぉ?」


バチッと嫌な空気が漂うお日さま園玄関。
あ、と雛菊はさっとリュウジの元から名前を引っ張り出しリビングに向かった。

その事はなんら関係ないと言わんばかりに2人の間の稲妻は落ちたまんまである。


「ウチの妹がお世話になってるみたいで」
「こちらこそ。面倒な妹さんのお世話してますよ」
「へぇ…あんな可愛い彼女さんがいるのに悪いね」
「いえいえ。名前の面倒は慣れてるんで」


「お兄ちゃん私達ご飯先食べてるからー」


火花を散らす男たちをよそに雛菊と名前はリビングの机に用意された豪華な夕飯を囲む。
それに気付いているのかいないのかは定かではないがこのイベントの発案者である雛菊は満足そうに名前と兄の作った夕飯を頂いていた。







夕飯ご一緒しませんか!

(やっぱり呼んでよかった。あ、お茶いる?)
(…放っといていいの?)
(大丈夫でしょー)


_
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -