美しいステントグラスから差し込む光は色鮮やかで。
赤に青、黄色に緑。
それぞれが特徴を持った色で、全てが違う色を放つ。
まるでそれは自分の知っている"家族たち"のようで。

―あの赤い部分はあの人だ、なんて。

人がどれだけ入るのだろう、長い椅子が沢山規則正しく並べられた教会のヴァージンロード。
たった一人でそこを歩く彼女は1人の新婦。
白を基調とした、所々にオレンジ色のレースをあしらったウエディングドレス。純白のヴェールに隠れた表情は伺うことができない。


自分を包み込む瞳を
伝え合うたびに輝いた夢を
そっとくれた笑顔を

全てが嬉しくて、優しくて


忘れはしない、彼の温もりを。
この道を共に歩むはずだったあの船の末っ子はたくさんの家族を置いて逝ってしまった。

置いて逝かないで、なんて我儘だった。
彼が望んだのは自分が幸せになる道。



―「俺の事なんて忘れていいから、幸せになれよ」



そう言ったけれど、自分はそれに抗うことを決めた。
忘れない。

今まで流した涙を勇気に変えてくれた貴方を

でも貴方は、もういないのにどうして自分の前を歩いているのでしょう。
あの大きな背中でずっと、愛を語ってくれているのが悲しくて、でもどうしようもなく愛しくて。




―「俺さ、エルと家族になりたい」

―「なら、お前らに子供ができたら絶対にくせ毛だろうな」





それでも
語り合った未来はいとも簡単に灰になって


空に 消えた




『パパも、わざわざこんな大きな教会貸切にしてくれなくてよかったのに』





まるで何事もなかったかのようにめぐり続ける世界はとても無情で。


張り切ってここを貸し切ったんだろうなぁと思うと笑いは漏れてくるのに、上手く笑えない。

誰もいない教会で、天を仰ぎステンドグラスの元に掲げられた十字架を見つめる。
それが、どうしようもなく親子共々にならんだ墓標に見えて。


どんなに遠くたって、心は傍にいるのに。
笑い合うことができていた世界は、もう存在しない。

どんなに寂しくたってずっとそばにいてくれた温もりも、掌に感じていた温もりも。




『…寂しいです、エースさん』




声に出してしまえばそれはあまりにも切なく胸に染みていく。
でも、彼は誇りを持って逝った。
どんなに闇に飲み込まれそうになったって、前を向いて。
道を照らす灯だった。

この世界にあるもの全てが自分の支えになっていたのは彼のおかげだった。

流れた涙を拭う手も、彼がいなくなった世界を嘆く声も。



でも、君がいたから夢を見られた。
だから、どんな形になろうともきっと未来へ辿りつける。

それが例え隣に貴方がいなかったとしても。





『私は

ポートガス・D・エースへ

永遠の愛を誓います』




誰もいない教会で

固く結んだ両手のうち、左手の薬指で鈍く光る指輪に

一滴の涙が落ちた。






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えすえるちゃん…結婚…しよ…(血涙)
もうやだなんでこんな切ないの死にたいってことで幸せverの結婚も書きますえぇ書きますともえすえるちゃんの幸せの為に

カラオケで
GLORY-君がいるから-
歌ってたらどうしようもなく泣きたくなりますってことでMに書けって言われたので書きました
あの歌本当に泣けますよね…!
Mに教会で1人立ってるえるちゃん想像できたって言われたんで見事にネタ強奪(ただし通常運転)