『キャスー?』
「……」

『…キャスっ!』
「おおう!ごめんアリス何か用か!?」
『何かじゃないっ!なんで私の事無視するのー?』


目の前に立っているのは確実に"アリス"
だがしかし、その容姿は今まで自分の足にしがみつく様に抱きついて来たり膝に乗って来たりしていたあの姿ではない。

不定期に満月の夜の日だけ年頃の少女の姿になるアリスは、キャスケットにとって"良い意味で"目を背けたくなる現実だった。


「なんで、って…」
『キャプテンは大きくなったらあんまり部屋から出るなって言うし…ペンギンはなんか目ぇ合わせてくれないし…』


ベポはいつも通りだけど、と付け足して逃さないとでも言うようにツナギに包まれた腕に絡みつく細い腕。
足に絡みつかれることはあっても腕に絡みつかれる経験はこの時でしかできないことだ。
しかしこの行動はキャスケットに爆弾を踏ませる要因でしかない。


「アリス……その、」
『?なに?』

「(当たって、当たってる…!)」


この船の上にいる時には無縁な柔らかい感触が。
いつもの子供の姿ならあり得ないであろう膨らみが、絡みついた腕に押し付けられている。

そしてアリスは気付いていないが、大きくなったからと言ってキャスケットたち男性陣より背の低い彼女がキャスケットを見上げれば、必然的にそれは上目遣いになっているのだ。
女の武器をここまで無意識に発揮されると逆にタチが悪い。
無意識故に怒ることも許されず、自分で気付いて欲しいのだがアリスがそれに気付くことはないだろう。

ローがあまり部屋から出るなというのもペンギンが目を合わせないのも
"ここは男所帯だから危ない"または"アリスを女として見てしまわぬ為の配慮"だというのに。
その上姿が変わるのは夜。
男の中の獣が騒ぎ出す時間である。


「(あ……やべ…)」


ついでに忘れてはならない。彼は健全な男だ。


「アリス…ワリィ俺、トイレ行ってくるわ」
『え?お腹痛いの?キャプテンのとこ行く?』

「いやいい…つか、そんなことしたら殺されるな…」

『(?……キャスってばなんで前かがみなんだろ)』



その後の彼の行方は誰も知らない。


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下ネタすいませんでした( ´_ゝ`)
キャス君は欲に忠実な子だと思ってます←