色づいた世界で色を感じることに、幸せを感じたことなどなかった。
だがその色を贈ることの幸せを知ったのはお前のおかげかもしれない。

『オイ』

声をかけた背中に、振り返った顔を想像してしまうようになったのはいつのことか。
きっとお前はいつものように屈託のない顔をこちらに向けるのだろう。
たまに花が咲いたように笑うのを見ると、その笑顔の花に私は色を見る。

そうしてお前は私に花を贈った。

笑顔と言う花と、そして私の生まれた運命(サダメ)の花を。
黄色く咲き誇る、その花を。


「呼んだか?」
『ん』


ずいっと差し出したのは私の手から。
そしてお前に花を返そう。
生憎笑顔なんて花は返せはしないが。


『この花言葉の意味を知っているか』

「ほう…俺がこの前やったのにわからないとでも?」
『…そうか』


この花と、花に込められた言葉を返そう。
風に揺れた小さな花の花言葉。


―称賛に値する


お前の力を認めたその意味を。