シュークリームを2つ


今日は天気もよくて暖かい。

こういう日は外に出かけてみる。まぁ、ここで虚にあっちまったら面倒なんだけどな。
そして今日は本屋にでも行って、あとはフラフラしていようと思う。

あぁ、そうだった。
遊子と夏梨に駅前のケーキ屋でケーキ買って来いって言われてたな。
なんのケーキを買えばいいんだよ。
つーか、男がケーキ屋で1人ってキモくないか?


空は青く 雲は白い

爽快な気分…

―――あいつに、会いたい…―――


いつもはそんなこと思わないのに
どうして急に…会いたくなんだよ
なんか ムカツク。

「あれ?一護さん?」

聞き覚えのある声。
間違えるはずもない。いつも聞いてる、あいつの声。
声のする方を見ると、予想通り。
浦原がいた。
さっきまで会いたいと思っていたやつに偶然でもあってしまうと、
なんか嬉恥ずかしい気持ちになる。

そして、驚くことが一つあった。
あいつの、浦原の服装が変な下駄帽子と服ではなく、 普通のメンズファッションだった。
はっきり言うと似合ってる。カッコいい。
それがうまく着こなせているのがなんか悔しい。
ほら。すれ違う人たちがあんたを見てる。
男も女も関係なしに。
すべてがあんたを魅了するんだ。
分かってる。
俺だけのあんたじゃない。

「浦原さん。あんた、こんなところで何やってんだよ?」
「一護さんこそ。ケーキ屋さんに入るところだったんでしょ?」

………………。
「…妹に頼まれたんだよ。…なんだよ!変か?!」
「そんなぁ、変なんて思ってませんよ。…ちょっと、可愛いなぁって思っただけっス。」

んなっ!なんて恥ずかしいこと言いやがるんだ?!
街中だってのに…
こいつ…やっぱり変だ。

「一護さん、何買うか決まってます?」
「ぃや…どんなのかわかんねぇから。」
「じゃぁ、ここの店のお勧め品にしましょう。実はアタシも雨とジン太に頼まれちゃいましてね、洋服で仕方なく来てるんですよ。」

そう言って、浦原さんはさっさと店に入っていってしまった。


店に入ると『いらっしゃいませー』という店員の声が聞こえて、落ち着いたBGMが妙に店の雰囲気に合っていた。
ココが人気な理由が少し見えてきたぞ。
女子とか好きそうだもんな。

「ここの店はね、シュークリームがおいしいんっスよ。一護さん、甘いもの好きでしょう?」
「…好きだけど。」

ニコッと俺に微笑みかけて、すぐに定員に向きなおった。

「じゃぁ、シュークリーム2つと、ショートケーキ4つ。いただけますか??」
「かしこまりました。こちらでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」
「ショートケーキは持ち帰りで、シュークリームはこっちで。」
「かしこましたました。では、少々お待ち下さい。」

注文し終わった浦原は俺を連れて窓際のテーブルに座った。
それからサービスでやっている(らしい)、ドリンクバーでコーヒーを飲みつつケーキが来るのを待った。
そういえば、俺ケーキ買ってないな。帰るときにでも…
そう考えている間にシュークリームが運ばれてきた。
確かにおいしそう。

「ささ、一護さん。食べちゃってください。」
「…ん。いただきます…。」

一口食べると、甘さ控えめなクリームが口の中に広がる。
シューも柔らかくておいしい。
絶品だ!

浦原は食べないでずっとコーヒーを飲みながらこっちを見ている。
「……なんだょ?」
クスリと笑って「いいえ、なんでも。」といってシュークリームを食べ始めた。


空は青く 雲は白い
爽快な気分…

これからも……あんたとこんな風にのんびりできたらいいな。




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