99%

俺は今、現世にいる。
何故かというと、局長の命令で破面のデータを出来るだけ取らなくてはならないからだ。
だから、仕方なく。もう一度言う。仕方なくだ。
日番谷先遣隊に同行することになった。

先日現世に出現した破面は紅色反応、成体だったわけだから藍染はもぅ、破面の生体を何体も作っている可能性がある。
あの人、変態っぽいのに頭いいからな…。
前の2体を合わせて、これで8体。
全員勝ったみたいだが重傷だったらしい。
それだけ、破面は強い。


で、今俺はなぜか白衣を着て(まぁ、これはいつもだが)保健室というところにいる。
綾瀬川に聞くと四番隊の救護舎のようなものらしい。

…俺は研究員であって治療は専門じゃないんだが…まぁ一応できるけど。
糞面倒くせぇな。


今日は、学校の案内だけで返してもらった。
まぁ、それだけでも面倒だったが…

先遣隊はそれぞれ宿をすでに訪っているらしい。
すでに阿散井が居るらしいが、俺は浦原さん(前局長と言ったら怒られた)のところに
泊めてもらうことになっている。
茶渡泰虎が特訓しているみたいだが、俺とは関係ない。
というか関わりたくないもんだな。
斬魄刀は抜きたくねぇ。疲れるからな。

最近気になっているといえば、黒崎が仮面の軍勢に接触したこと。
浦原さんに聞いて、黒崎の中に虚がいることは知っていた。
朽木とかも知ってんだろうがな。
多分、今回の黒崎の失踪はこれが関係しているだろう。

「阿ー近、買い物に行って来てくれませんかね?テッサイが今手が離せないので雨がついていきますが、お願いできますよね?阿近?」

そういう浦原さんの最後に名前を呼ぶ時は逆らえない。
逆らったら何されるか分かったもんじゃねぇ。

「わかりました。」

そういうと、二つ縛りの前髪チョローn…ぃや、雨が二つ折りの紙と財布を持って近寄ってきた。

「じゃぁ、行くか。」
「…はぃ。」

店から一歩出ると、糞眩しい太陽の光を嫌でも浴びて、
俺はいつもの薄暗い研究室に戻りたくなった。
ってか、とりあえず日陰にいたい。
いつか焦げるか溶けるぞ。
なんで自らこんな光を受けようとすんのかわかんねぇ。
やっぱり人間っておかしいよな。
絶対おかしい。

「ぁ、あの…」
「あ゛ぁ?」

光を受けて不機嫌度は100up↑
さらに雨の気弱な声にまたィラッときた。

「…スーパー…ここです…。」

つい太陽や人間の事を考えていた気付かなかった。
ぃや、ほんと…全然気付かなかった。
くそっ…もっと早く言えよ。
余分に歩いちまったじゃねぇか。

ハァ…(溜息)
さっさと買って帰るぞ!俺はっ!!

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜


スーパーから出て、帰り道を歩いていると井上織姫にあった。
こいつはなかなか面白い能力あるから調べたいんだけど。
朽木やら阿散井やらに止められて出来ないんだよな。
調べてぇなぁ〜…
まぁ、そこんところは置いといて。
なんだか急いでいるようだったが、なんとなく呼び止めてみた。

ほら、俺Sだから。邪魔したくなるんだよ。

で、何で急いでんのか理由を聞くと
破面との決戦が冬だと決まったから黒崎一護に伝えに行くらしい。

黒崎一護がいる場所―――――つまり仮面の軍勢のアジトってことだ。
………あの人が…いるかもしれない……

「…井上織姫、俺も一緒に行ってもいいか?」

荷物も少ない。雨でも一人でも持てるだろう。
荷物をすべて雨に渡す。
ヨロヨロとしているが、まぁ転ばないだろう。…たぶんな。

こうして俺は井上織姫と共に黒崎一護の元へ向かった。



俺ははっきり言って黒崎一護なんてどうでもいいんだ。
ただ…ずっと思い続けていたあの人に会いたいだけ。
仮面の軍勢のところに行けば、会える確率も上がる。
ずっと、100年以上も思い続けた来たんだ、会いたい。一目でいいから、顔が見たい。
元気でやっているのならそれでいいから…。

俺を捨てたあの人は………

もう…俺のことは嫌いですか?

どうして何も言ってく入れなかったんですか?

帰ってくるって言ったのに………
ねぇ??…拳西さん。

どうしてあなたは…………
               
俺を連れて行ってくれなかったの…?

──

井上織姫に付いていって、たどり着いたのは結解に包まれている古びた倉庫だった。
本当に微かだか、確かに黒崎一護の霊圧が感じられる。
とりあえず、入らなくては話が進まない。
井上織姫は結解を通り抜けられるみたいだか、俺はそれでは入れないのでいつも持ち歩いているメスで切った。
勿論、俺の腕前だ。
綺麗にスパッと斬ったぜ。スゲーだろ。
俺が入ると直ぐに結解の穴は塞がった。


倉庫に入ると、地下へ繋がる階段があった。
まず、井上織姫が先に階段を降りていく。
それから数歩後ろを俺が歩く。
あぁ、少し降りただけで殺気が感じられる…
まぁ、侵入者なんだ。警戒するのは当たり前だろう。      
そして、複数の霊圧の中からずっと探していた人の霊圧を見つけた。
昔と変わらない…
少し乱暴で、雑な…俺の大好きな人の霊圧。
殺気が消えれば、優しさのある…あの人らしい霊圧。

「拳西…さん…」

思わず名前をつぶやく。
そしたらだいたいが俺の存在に気付いた。猿柿元副隊長は黒崎一護とまだ戦っているがこっちには気付いているみたいだ。
俺の事を良く知ってる拳西さんと久南副隊長と平子隊長は目を丸くしていた。
でも平子隊長だけはすぐ睨んできたけど…。
拳西さんの霊圧を感じただけで少し泣きそうになったのに、顔をみたら愛しさでいっぱいになった。100年以上経ってもまだ俺は拳西さんに惚れているんだ、そう再確認した気がした。
井上織姫はさっそく黒崎一護に伝言を伝えている。
拳西さんは俺から目を背けている。俺はまた、貴方の強い瞳に映してほしいだけなのに…


「拳西さん…?」
そう呼び掛けても反応してもくれない。俺は少し不安になった。

「あこちゃんだよね?」

話し掛けてきたのは久南副隊長だった。
「…久南副隊長………」
昔は白ちゃんと呼んでいたけれど、俺はもうそんな年じゃないし。

「白ちゃんでィイよ♪…その呼び方嫌いだから…」
そうだった…。仮面の軍勢は死神を恨んでる…
「それにしても、大きくなったぁ〜?また一緒に拳西で遊ぼうよ♪あこちゃんだったらィイよ♪ねっ!拳西!」
「帰れ。」
「…」

好きな人からの辛い一言。
なんとなくわかってた。拳西さんはもう、俺の事を好きと言ってくれない。
何も言わずに居なくなった時から解っていた筈なのに…泣きそうになる。

「さっさと帰れっ!!!!」
「ちょっ、拳西!「いいんです!白さん…」
「あこちゃん…」

俺が拳西さんにとって迷惑な存在なのは解ってる。
「拳西さん…ごめんなさい…」

さようなら



俺は外に飛び出した。
結界を壊して来た道を出来るだけ速く走る。
泣きそうだった。
最後まで泣かないと決めていたのに…


────せめて…拳西さんの笑った顔が見たかったな…



─────────

俺のつまらない灰色の世界は貴方という存在で色を持ち、輝き始めた。



大好きでした。

一目惚れだったんです。

貴方の笑顔を見るたびに…幸せを感じていた。

でも……ごめんなさい……

俺という存在が貴方を苦しめるのならば…解放してあげたい。

俺が貴方と離れて…貴方が楽になれるのなら………俺は喜んで貴方の前からいなくなろうと思います。

でも…貴方と離れても……貴方を好きだという気持ちが消えないようなら……想うだけでもいいですか…?


ごめんなさい ごめんなさい

大好きです
愛しています


ありがとう

────大好きでした───


 99%の想いと
  1%の安心感


―――――――

何かが足りなかった毎日。
お前に会って全てが満たされた感じがした。



愛してる

初めて技術開発局で会ったときから、何故か仕事中でも気になって仕方がなかった。

お前を傍に置けるようになって本当に嬉しかったんだ。
この9年間は今まででとても満たされた時間だった。


でも ごめんな。
勝手にお前の前から消えてお前の事を傷付けた。

お前がどんな思いで此処に来たのだろうと考えると苦しい……
成長したお前をみたら無性に抱き締めたくなった。
抱き締めて、キスして、謝りたかった。


好きなんだ

愛しているんだ


でも俺はもう死神じゃない。
お前とは、もう違う。

お前と一緒には生きていけない。

ごめんな 本当にすまなかった…
今まで ありがとな


─────愛してた──────


 99%の愛しさと
   1%の俺の無力

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