BGM


テスト期間も過ぎ、遂にあいつが帰ってくる……



「では、てすとをかえします。」

出席番号順に呼ばれテストが返される。
そう。あいつとはテストの事だ。
英語はイケてる気がする。
問題は……

「だてまさむね。」

化学―32点

しょうがねぇだろ。こういうのなんか面倒くせぇ。
俺はテストを鞄に突っ込み、追試の宣告を受け、同じく追試組の元親、幸村と遊びに出た。

――――――

家に帰ると、玄関先に小十郎が正座をして待っていた。

「お帰りなさいませ。政宗様。」
「おぅ。小十郎ただいま。」

家に上がり、自室へと向かう。
その間も小十郎は後を着いていた。
3歩後ろを着いてくる。お前は昭和の女かっ!!

「Hey!小十郎、何か用かよ?」
「では、政宗様。今日はテストの返却日だとか。」

身体か固まった。
siht!何処でバレた?黙っていたはずなのに…!!
そういう内容のprintは全部捨てた筈だぜ!?

「さぁ政宗様、お出し下さいませ。さぞ成績が良かったのでしょうから。」

普段は滅多に見せない笑みを浮かべ手を差し出してきた。
はっきり言っちまうとメチャクチャ悪い。良かったのは英語と国語内の古文ぐれぇだ。
小十郎はまだ「さぁ、どうぞ。お出し下さいませ。よっぽど良い成績なのでしょう?だから遊んでらしたのでしょう?」と無言の圧力をかけてくる。
背中に嫌な汗が伝った。
俺は恐る恐る鞄に突っ込んでクシャクシャになったテストを渡す。
そのテストを見ていく間、だんだん小十郎の周りの空気が冷たくなっている気がした。
そうさ、きっと気のせいさ。軽く現実逃避。

「…政宗様、其処にお座り下さい。」

指で示された場所に大人しく座っておく。
あぁ、雷が…

「どういう事ですかっ!是は!!英語以外50点以下ではないですか!平均点より下でしょう?苦手を潰さないで遊んでいるからですよ!!」

小十郎の説教をBGMにして俺は現実逃避する。
そうしねぇと気が遠くなる長い説教を聞いてることはできねぇ…
長いときで3時間…

「政宗様っ!聞いておられますか!」
「聞いてるよ、小十郎。怒鳴んな。」

小十郎は呆れたようにため息をつき、静かな声で言った。

「政宗様、貴方は伊達家の跡取り候補です。この家に相応しい者を跡取りにすると、輝宗様が仰いましたでしょう?…小十郎は当主にお仕え致します。どうか、頑張って下さいませ。」
「Ah!任せろ。お前は俺の右目だ。俺が当主になってお前を傍に置いてやる。」
「政宗様…では、次のテストでは期待しておりますよ。」
「ぅ゛…」

……墓穴を掘ったか…?
まぁいい。伊達家の当主は俺だ。
小十郎も渡さねぇ。
でも…勉強する気はねぇ!!



これが俺、独眼竜 伊達政宗だっ!!



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