ルール無用のラブバトル

会社帰りのサラリーマン、酔っ払いの面白くないギャグ、威勢の良い男性店員の声。ガヤガヤとうるさく、賑やかなETU行きつけの居酒屋はとても居心地が良い。
そんな今日も、ETUのベテラン陣が飲みに来ていた。
石神、丹波、堀田、堺の4人である。
テーブルの上には沢山の料理やつまみ、お酒で溢れていた。
その中に野菜サラダなども入っているのはさすが栄養管理にうるさい堺だと言えよう。

「ガミさん、ちょっと、しっかりしてくださいよ」
「ん〜」

既に酔っている石神と丹波をあまり飲んでない堀田と堺が介抱してやる。
大体介抱する相手は前から堀田は石神を、堺は丹波だといつの間にか決まっていた。(それも各二人が付き合っているからなのだが)

「堀田、放っておけ。」
「え、いや、でも…」
「自分で制御できねぇのが悪い。」
酔って寝ようとしている石神を揺すって起こそうとしている堀田に、「馬鹿は放っておけ」と堺が声を掛ける。
そんな堺の隣には笑い上戸になった丹波が寝転んでいた。

「ほら、堀田、焼き鳥食え。」

ネギマとつくねが乗った皿を堀田の方に寄せ、堺は空になった皿を重ねてテーブルを綺麗にしていく。

しばらくサッカーの話や世間話をしながら酒を飲んでいた2人

「さ〜か〜い〜…ふへへぇ」

寝転んでいた丹波がむにゃむにゃと寝言を言っている。
それを堺はイラッとしたように丹波の額に強烈なデコピンを打つ。急な打撃に目を覚ました丹波はデコピンをされたことを把握し、堺に絡む。その様子に苦笑いしながら堀田は、グラスに残っていた酒を煽った。

「なぁ、堀田。」
「はい?」

構ってと堺の腰にしがみついていた丹波を押し退け、いつの間にか石神に膝枕をしている堀田(といっても胡坐をかいている堀田の膝に石神が頭を勝手に載せて寝ていただけなのだが…)に話しかける。

「今度のOFFどっか行かないか?」
「あ、いいですね、行きましょう」

堺から遊びに誘うのはとても珍しく、堀田は珍しいこともあるもんだな、と思いつつ承諾した。

「お、いいなぁ、どこ行くんだ?」
もちろん俺も一緒だよな?と丹波はわくわくと話に入ってくるが…

「はぁ?俺は堀田しか誘ってねぇよ。」

無情にも堺の即答によって丹波は一時停止する。
テーブルの向こうに座っている堀田も、まさか2人でとは思っていなかったらしく呆然としていた。
「デートな?」
「恋人の前で堂々と浮気!?」

ショック!!と叫び丹波はテーブルに突っ伏す。
そんな様子の丹波を無視し、堺はニヤリと堀田に笑い掛ける。
丹波も滅多に見れない笑顔であり、信じられないと丹波は落ち込んでしまった。
笑い掛けられた堀田は不覚にも顔がカァァと熱くなるのを感じ、俯くが、バチッと膝の上のスーカー寝ていたはずの石神と目が合い、また気まずくなって視線を反らした。

「ガ、ガミさんいつ起きたんすか…」
「ん?堺くんの『今度OFFどっか行かないか?』から。」
「最初からじゃないですか…。」

のろのろと起き上がり笑いながら言う。

「堺くんは気付いてたもんな。っていうか、俺が起きそうなの見計らって言ったでしょ。」

その言葉にまぁな。と堺が返すと、そうだったの?といじけていた丹波は堺を構い始めた。

「堀田くん。」
「ぁ、はい」
「遊んでもいいけど…デートはダメね。」

ニカリと堀田に笑い掛け、キスをする。
チュッと可愛らしい音がして、堀田は慌てた。ここは居酒屋で他の客もいる。

「何してるんですか!」

と小声で反抗するが、まぁいいじゃんと石神はまた堀田の膝を枕に寝始めた。
はぁ、とため息を吐き、膝の上にいる石神をもう一度見る。
堀田は何故だか少し可笑しくなって笑った。


その2人の様子に堺は少し呆れてしまったが、そんな2人が堺も丹波も大好きだ。
飄々としている石神に嫌がらせとして堀田をデートに誘ったが、デート出来ない事が少し惜しく感じた堺であった。




  END
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