04

「あったあった」
僅かにひんやりと冷たい風を振り払うように、小走りで自動販売機に近寄る
お金をいれ、ココアのボタンを押した悠はぴたり、と体を硬直させた。

こんな夜中だというのに、人の気配がするのだ
しかし、ここは池袋。
夜中に歩き回る人がいてもなんらおかしくはない。
だが悠はもしものために近くの角に音をたてずに身を隠した。

足音を響かせながら、段々とこちらへと歩み寄る複数の気配。
そこには今どきの格好をしている、ずぼらな格好をした男が2人いた。

なんだ、と胸を撫で下ろした悠がそこから動こうとしたとき、ふわりと漂った。


匂い
それも、血のだ。


まさかと思い、塀から2人を覗き込む
興奮しきった胸をなんとか押さえながらも覗き見た男の服には僅かに、血の痕が残っていた


やられた
殺された人間がいることに罪悪感を抱えながらも男達が去った道を追いかける
運の悪いことに携帯は部屋に置いてきてしまった。
男達の向かった細い路地に疑問を持ちながらも足を進める

まさか、バレたのだろうか?
不安を覚えながらも足を進める。

隠れる場所などない
武器だって持ち合わせていないこの状況、体術だけで乗り切るのは少々不安だ

僅かに見えた影に悠は足を止め、耳を傾けた


「殺っちまったなあ」
「ああ、まあ仕方ねぇだろー。」
「でも、"アイツ"にバレたら俺ら終わりじゃねーか」
「そのためのボンゴレだろぉ」


間違いない
犯人はあいつらだ
そして、マフィアの関係者
話を聞く限り、彼らはボンゴレをはめようとしているようだった。

悠は、良い情報を聞いたと細く微笑む。
男達の顔は覚えた。

あとは該当するマフィアを探すだけ


その場を去ろうと足を後ろに踏み出したとき、石と石が擦り合う音が路地に響いた

――やばい

悠が静かに冷や汗を流した


誰だっ、と路地に男の声が響くと同時に足音が聞こえる

慌てて退散しようとしたとき、後ろから伸びてきた手が悠の肩をがっちりと掴み、後ろへと放り出された。


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