02

「確かこっちの方っス!」
 
狭い路地で小さく響く渡る女の声
情報交換をしていた2人は視線を交える
ブルーシートに囲まれた場所にいては怪しまれて面倒だ。
その視線で2人はお互いに頷き、ブルーシートに囲まれたそこから抜け出し、すぐ近くの曲がり角に身を隠した
 
バラバラに聞こえる足音は確実にこちらへと向かっていた
数は4、5人といったか…
 
「此処みたいでござるな」
 
先程まで砂邪と悠が居た場所の前で、彼等は足を止める
 
男4人に女が1人。学生のようだ。
 
大方、授業をサボるついでに興味本意で事件現場に遊びにきたのだろう。
 
女は短いスカートに大きめのマスコット等が沢山ついたスクールバック、そして金髪。
男はそれぞれ、サングラスやらカラーシャツ、ヘッドホンなどを身に付けていて、ガラの良い人間には見えない。
中でも特に、左目に眼帯をした赤いカラーシャツの男は、他の連中とは違った雰囲気で、おそらく彼がリーダーか。
 
学ランのボタンを一番上まできっちりと閉めた、優等生のような格好をした男も1人混じっていたが、彼等は見るからに不良グループ
 
ただの不良であれば特に危惧する必要もなかったのだが、残念な事に2人は彼等と顔見知りだった。
 
特に砂邪は、彼等と同じ学校に通い、更にはクラスまで一緒なのだ。
 
彼――高杉晋助、及びその一派と。
 
「ッチ…」
悠はブルーシートの前に立つ5人組に小さく舌打ちを吐き捨てた
なんであいつらが、とでも言いたそうにする砂邪がイラだったように眉間に皺を寄せる
 
「移動、しようか」
「…そうっスね。」
悠が頷くのを確認し、2人は気づかれないようそっとその場を去る
 
小さく薄い唇を弧に描き、それを横目に見ていた高杉に、2人は気づくはずがなかった。


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