『神童。』


私が呼びかけるとなんだ?と振り返る神童。


『神童はさ、今日の話のことどう思う?』

「今日の話…?フィフスセクターのことか」


『うん。…私はさ、凄く嫌だと思った。自由なサッカーが好きで入ったから。なのに、現実はそれと真反対だったなんて信じられなかった。』


「…俺だってそうだよ。正直、サッカーが支配されてるなんて信じられなかったし。」


そうだよね…。少し沈黙が流れて、それを破ったのは神童だった。


「でも、それで辞めようなんて思わない。みょうじもそうだろ?指示が無い試合もあるって言ってたんだしさ、」


『…うん。』


確かに、辞めようとは思わなかった。辞めたってソレから逃げてるだけにしかならないし、逃げるなんて嫌だから。
神童は早くも何かを割り切ったようにいっていたけど、実際はまだ自分でも整理がついてないんじゃないかな、少し悲しそうな顔で話ていた気がする。



そういえば、説明をしているときの先輩達も悲しそう、というか辛そうだったな。試合の時はもっとつらい思いをしているのか、改めてそう思うと胸のあたりがきゅーってなった感じがして苦しくなった。






その後もフィフスセクターという存在と、サッカーが管理されている。という事実を簡単に受け入れようとは思わなかった。
でも、やってる中で理解しなくてはならない場面もあり、多少は受け入れた上で、内心不信感をもっていたままで行動した。
反発したところで、所詮はマネージャーなのでなにができるわけでもないし、サッカー部が潰れるのだけは嫌だったから。



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