「ずーるーいーよー!!」
「…なんで?」
「吹雪君、可愛いよー!男の子のくせにズルいよー!!」
「…」
なまえちゃんはいつも僕に可愛いと言ってくる。
なまえちゃんの方が可愛いのにな…。
と、言うより…、
男である僕が「可愛い」なんて言われるのは結構、傷つくんだよね…。
気づいてないのかな…?
なまえちゃん。
自分がすごく可愛い事とか、
サッカー部の皆に好かれてる事とか、
僕が君を、
好きって事とか。
「吹雪君さー、どうやったらそんなに可愛くなれるの?」
「…なまえちゃん」
「なんでしょう?」
「なまえちゃんはさ、本当に僕を可愛いとか思ってるの?」
「当然、」
「じゃあ、僕のどこが可愛いの?」
「んーとね、背が小さいとこ、目がくりってしてるとこ、まつ毛が長いとこ、喋りかた、それからー、」
「…もういいよ」
「え?なぜ?まだ結構あるのに…」
まだあるんだ…。
なんかショックだなあ。
でも、一番気になるとこは…。
「じゃあ、なまえちゃんは僕の事をどう見てくれてるの?」
「は?」
「男として…、僕の事見てくれてる?」
そう問いかけると、なまえちゃんは目を反らした。
「僕の方を、ちゃんと見てよっ…!」
僕が少し声を張ると、なまえちゃんは困ったような顔をして僕を見つめた。
そんななまえちゃんが可愛くて、
いとおしくて、
我慢出来なくなり、僕はなまえちゃんを抱き締めた。
→