ヒロトは愛想が良い、おまけに誰にでも優しいし笑顔を振り撒く。私はヒロトのそこが好きで、そこが嫌い。

今日もヒロトは沢山のファンに囲まれてる。勿論、笑顔で。そこでは優しすぎるのがいけないと思うの。だって、ヒロト絶対断れないでしょ?だから、貢ぎ物を沢山貰うんだよね…。
何度燃やしてやろうかと思ったか…。ま、やめといたけど。

『…………』

ともかく、そんな様子を遠目で見ています。え、内心?そりゃぁイライラしてますよ。
ヒロトがタラシじゃないだけマシだよね。って言い聞かせる私。だけど、表情も抑えきれてないのかな?隣の秋ちゃん達が気まずそう。ははは、気にしないで?



全く、さっさと練習戻ったらどうなのかな…。いや、まだ確かに休憩時間なわけなんだけれども。…うーん、要は私何が言いたいのだろう。


「なぁ、みょうじ」

呼びかけて来たのは風丸くん。さっきまでの表情を一変させて対応する私、エライ。

「もうすぐ練習始まるってヒロトに伝えて来てくれないか?」

『……は?』

一瞬にして表情が割れちゃったよ。なんてことを言うんだい風丸くん。冗談はよしてくれよ!…冗談じゃない、か。

『なんで、私が?いつもなら円堂くんとかが行ってるでしょ。』

「円堂はもう練習戻っちゃってさ他の奴らも多分…」

『なら、風丸くんが行きなよ。』

今の私の機嫌が悪いことくらい、いつものことだからわかってるだろうに、なんでだ…。

「俺、あんなとこいったら死ぬ」

女子の軍団苦手な人か…。なんか同意出来るけどさぁ、。とかなんとか思ってる内に風丸くんは頼んだぞ!とか言って何処かへ行ってしまいました。


『……秋ちゃ、ん?』

可笑しいな、さっきまで隣にいたよね…?春菜ちゃんと冬花ちゃんまでもがいなくなってる。イジメだよ、これ。

『しょうがない…行くか。』









いざ近くまで来たものの、入りづらい!!むりむりむり、こんなとこでヒロトの傍行ってみな?視線が痛いよ!運よく気づいてくれたりは…しないよね。だって私ヒロトの後ろ側にいるもん。

…これもマネージャーの仕事だと思って堪えろってことなの…?



『…基山くん!!』

振り向いたヒロト。…とその他多数。痛い痛い、視線が痛い…!

『もう練習始まるってさ!』

言うことは言った。即座にUターンして少し早歩きで歩いていく。私の言葉をきっかけにヒロトもファン達から逃れて、私と同じ方向に歩いてくる。私に追い付こうとする速度で。

「…なまえ!!」

ここで振り向くべきか振り無かざるべきか…。残念、私は振り向かないよ!

「なまえ…!!」

肩を掴まれて強制的にヒロトの方を向かされる。普段ならヒロトと向き合うの嬉しいけど、アレの後、数時間はとても嫌。

『……何?』

「なんでそこまで俺から逃げようとするのかな」

『…わかってんでしょ?』

「そんなに俺があそこにいるのが嫌?」

こういう時のヒロトは絶対にSだ。わかってるくせにわざわざ聞いてくるし、たちが悪い。

『あのさぁ、付き合ってる人が他の異性に囲まれてるの見て気分良い人っているの?』

「いないと思うかな」


…話にならない!私は手を振り払って歩きだした。

「……俺、、なまえに嫉妬されるの好きだよ。だって、それくらい俺を好きってことでしょ?」

『…っ……』

もしかして、断れないのは本当だとしても、囲まれてるのは意図的になの!?もう、意味わからない…!!

「そろそろ機嫌直してくれると嬉しいな。嫉妬されてるのは嬉しいけど、笑ってる顔の方が好きだからさ。」

『……馬鹿ヒロト…っ。』

そんな笑顔で好きなんて言われたら、こっちから折れざるおえないじゃない…!!




(ところで、さっき俺のこと基山くんって呼んだよね、なんで?)
(………気のせいじゃない?)(……後で俺の部屋おいで、ね?)

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