こんにちわ、南沢なまえです。言っときますが、南沢糞篤志とは兄第でも何でもありません。決して違います。只たんに"たまたま"苗字が同じなだけです。

こっちとしては本気で迷惑。苗字で呼ばれると、どっち呼んでんだかわかんないし。
全くにてないのに私を双子とかだと勝手に勘違いした女の子は南沢篤志にラブレターやら何かを渡せと言ってくるし。
私としてはそんくらい自分で渡せやボケって感じです。自分でできないなら渡すな。

「南沢ー」

ほらまた、男の方か女の方か言えっつーの。

「南沢!」

わかんないからシカト決め込んでると再度呼ばれた。……誰だよ畜生。無言で睨みながら振り向くと、そこにいたのは南沢篤志だった。

『なんだ、お前かよ…。紛らわしい呼び方すんな馬鹿。』

「なんだ、って酷くねぇか?名前で呼ぶなって言ったのなまえだろ?」

『さりげなく名前で呼んでんじゃねぇよ。うん、確かに言ったよ。…じゃぁ訂正、名前でも苗字でも呼ぶな。』

「はぁ?なんだよそれ、じゃあ、なんて呼べっての?」

『呼ぶな。話し掛けるな。近寄るな。タラシが移る。』

「……なんか最近、俺への接し方酷くなってないか?」

『気のせい、気のせい。』

実際、気のせいでは無いんだろうけどね。まぁ、なんていうか、こいつが用も無いのに話かけてくんのにムカついたり、女の子に囲まれてたり話てんのにムカついたりするだけなんだよ。

……あれ?なんかこれじゃ、私が南沢のこと好きみたいじゃん。うわ、ありえねぇー…。

「…何が有り得ないって?」

『私が南沢篤志のこと好きとか無い無い。うん、有り得ない。』

「…へぇ、お前俺のこと好きだったんだ。」

『は?いや、だから違うって…』

……私、今誰と話てるんだ?見るとそこにはニヤニヤした顔の南沢がいた。なにニヤついてんだこいつ。

『……あれぇ、南沢くん。まだ居たわけ…?』

「誰が何時居なくなったって言ったんだよ。」

しかも私が口に出てしまっていたらしい言葉聞いてたとか…。うわぁぁ、ありえない。無理。

『……じゃ、私はこれで…』

「で、好きって本当?」

去ろうとしたのに道を塞がれては通れない。話も戻されてしまったし、追い詰められたというのが正しいのだろうか。

『いや、本当じゃないから、有り得ないから。』

「俺は好きだけどな」

『あぁ、うん自分が、ね。OK、OK。わかってるよ』

「なまえが。」

『はっ、寝言は寝ていいやがれ』

「俺がこんなこと言うなんて珍しいぜ?損は無いと思うけどな。」

損ありまくりだアホ。全ての女子敵に回すようなもんじゃないか。私は女子と敵対したくないんだよ。男子より女子と仲良くしてたいんですー。

「将来、苗字変えなくてすむんだし。」

『…何言ってんの?付き合う通りこして結婚?馬鹿なの?てか、私この苗字好きじゃないから、主にお前のせいで。』

「……お前、俺のこと嫌いなわけ?」

『…嫌い、なような違うような』

「じゃあ、好き?」

『好きでは無いな、…多分。』

「……なら、その多分に賭けるとするか。絶対、俺を好きにしてやるよ」

『…はぁ!?え、ちょ、まて!』

待ってくれるはずもなく、南沢篤志は何処かへと歩いて行ってしまった。

…絶対、好きになんかなるか!!



(惚れたら負けのゲームの始まり)

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多分好きじゃない=好きかも知れない

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