『貴方はだれ?』

突然、病室に入ってきた男の子に少し戸惑いを覚えながらも聞いた。

「俺?俺は…。……やっぱやめた。君の病気が治ったら教えてあげるよ。君でしょ?自分がいつ死ぬのか聞いてるのって」

「……君は、死にたいの?」


ストレートに聞く人だな…、死にたいの、か。どうだろうな。でも……

『どうせ何も出来ないで、ただ生きているだけなら死にたい。』

「…やりたい事とかは無いの?」

『そんな物有ったって出来ないなら意味ないでしょ。……でも、やりたい事では無いけれど、貴方の名前を知りたいとは思うかな』

ほんの興味本位で思ったことを口にした。そうしたら、男の子は少し困った顔をしながら笑った。

「だから、治ったら教えてあげるって」

『治らなかったら、わからないままじゃない』

「治せばいいだろ?」

『なにそれ』

単純で分かりやすい、けど、答えとしてはどうなんだろう…。でも、久々にちゃんと笑った気がする。


「…じゃあ、俺はもう帰るから、治ったら教えてよ。名前、言うからさ」

そう言って男の子は去って行った。

……結局、何もわからなかったな…。見た目的に、同い年とか年下くらいだと思うけど…。
「治ったら教えてあげる」かぁ…。なんか楽しみ、だな。少しくらいは頑張ろうって思えてきた。また会えるといいな、あの子に。








全く、酷いよね。見かけてからずっと気になってて、やっと名前と学年が分かったからクラスまで会いに行ってみたら入院だって。
まぁ、病院を知ってる人がいたから会って話すことも出来たけど。治ったら教える、なんて少し意地悪だったかな?
でも、教えちゃったらもう会えないかも知れないし、あっちが俺に興味をもって、しかも話し掛けて来てくれるなら、俺としては嬉しいかぎりだしね

…早く、俺に会いに来てよねなまえさん。


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