『サッカーなんて嫌いだよ。』
小さな声でボソリと呟く。こんな言葉、守に言ったら酷く傷付くんだろうな。きっと悲しそうな目をするだろう。
守のそんな顔見たくないから、私は一人で呟いて伏せることしかしないけど、やっぱりあまり好きにはなれない。
だって、サッカーは私から大切なものを奪っていってしまうんだもの。勿論、その大切なものは円堂守、私の大好きな人だ。
昔から、私が出会った直後くらいから守は既にサッカーの虜で、私がそこに入り混んで守の1番好きなものになることなんて出来なかった。それが凄く嫌に思えた。
そんなの望むなんて強欲かもしれないけれど、私はずっとずっと守の1番になりたいと願ってきた。
それなのに、サッカーはいともたやすく1番になって、その上そこから退こうとしないんだもの。そりゃあ悔しくもなるよ。
だから、私はサッカーが嫌い。
守には色んなものを与えてくれて楽しみをくれる、そんな素晴らしい存在だろうけど、私からは奪ったっきり何もくれない薄情な存在でしかないから。
今日もまた、君がそれを守るためにいないのを良いことに、私はそれに毒を吐くんだ。
title byフォルテシモ
2012.07.26
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