会いたいって、どんなに心の中で強く、強く思っても、決してそれは叶わなくて。

貴方がいないことで、私は凄く、寂しくて、つらくて、泣きたくなった。
でも、結局そんなの無駄で、会いたくても会えないなんてわかっているのに、また会えたら、なんて願ってしまう私はおかしいのかな。




私の大切で、愛しい、吉良ヒロトはいなくなったの。

私は、瞳子ちゃんと同級生で、仲が良くて、瞳子ちゃんとよく遊んでいて、それでヒロトさんと出会った。
ヒロトさんは憧れであり、大好きな人だった。それなのに、ヒロトさんはいきなり目の前からいなくなった。隣に立ちたい、と望み続けて追っていた背中が見えなくなったの。

吉良さんと、瞳子ちゃんが悲しんでいる後ろで、私はただ突っ立っていた。
そりゃ、とても悲しかったよ。でも、誰よりもヒロトさんを大切に思っている家族より悲しむ権利なんて私には無いもの。



それから大分たって、瞳子ちゃんたちはお日さま園っていうのを始めた。私も瞳子ちゃんに会いに行っては、時々手伝いをしていた。

そんな時、ある子が新しくお日さま園に入ってきた。赤い髪をしているおとなしめな男の子。驚いた、だってヒロトさんに似ていたんだもん。
男の子は慣れないのか、遠慮がちで大人しいかったけれど、ヒロトさんと重ねてしまいそうで、そうなりそうなことがなんだか嫌だった。だから、少し私は距離をおいた。
業と忙しいふりをして、お日さま園に行かない理由をつくって、全く行かなかったわけじゃないけど、少なくはなった。



自分勝手だけれど、ヒロトさんとヒロトくんを重ねてしまっては申し訳なくて、それでも自分ではどうにも出来なくて…。





好きなんです。気持ちを伝えることは出来なかったけれど、この想いに変わりはないよ。



(完全に浸してしまったら…)

――――――
浸す=ヒロトさんとヒロトを重ねてしまう、みたいな。
title byフォルテシモ

戻る


「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -