「……あれ、」
朝起きて身仕度をしてから他の人達もいるであろう場所に向かっていると、いつも鉢合う場所でなまえと会わなかった。
必ずって程此処で会ってたから、変には思った。けれど別にいいやと思ってそのまま歩いていったが、そこにも凪沙の姿は無かった。
不思議に思って、そこらへんにいたチューリップもとい、晴兄に聞いてみた。
「ねぇ晴兄、なまえは?」
「なまえ?それなら…」
「姉さんと部屋にいるよ。」
「な、風介!?」
俺が言おうとしてたのに!、とか言っている晴兄はほっといて、疑問を言った。
「は?なんで…?」
「なまえが風邪を引いたらしくてね。あ、今日は学校も休むってさ」
風邪…、と呟いてから、俺はなまえの部屋に行くことにした。後ろで晴兄と風兄がにやにやしているのはこの際無視しておこう。
扉を開けて、部屋に入ると言っていた通り母さんと、布団に顔までくるまっているなまえがいた。ときおり、なまえから咳をする音が聞こえてくる。
母さんが俺に気づいたらしく、俺の方を向いた。
「ほぼ微熱なんだけどね、多分今が辛いと思うから。今日は一人で学校行ってちょうだい?」
俺が頷くと、母さんは微笑んでから、なまえの方に向き直した。すると、なまえが布団から顔を少しだして、若干潤んだ目で見てきた。
『……マサキ、ごめん。』
「なんで謝んの、そんなこと言ってんだったらはやく治せっての。」
『うん。』
なまえは再び布団を顔まで被りなおした。それから、扉を開けてでていこうと開いたら、前にはにやにやしているヒロ兄と晴兄と風兄がいた。
いつまでにやけてんだこいつら…。しかもヒロ兄まで加わってるし。
やっぱ、なまえには優しいよなっていう晴兄に対して、ヒロ兄がだよね、とクスクス笑いながら肯定した。無性に腹が立つ言い方なんだけど。
恋ってやつのせいだろうねと、風兄がいうと、うん、うんって頷く残り二人。言ってることとかそれに頷くとことか親父くせぇ…。
「いつまでも馬鹿なこと言ってんなよな、あといい加減にやけんのやめろよ、気持ちわるい。」
その後、ごちゃごちゃ何か言ってる三人を無視して、学校に行くことにした。
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