『……ね、風丸…。そこにいるの?』

「あぁ、みょうじの目の前に居る」

手を伸ばして俺の存在を確かめるように聞いてくる。目隠しをしている状態のみょうじからは俺の姿がわからなくて当然だ。

『…良かった。……私、最近凄く不安になるの。風丸がいなくなったらどうしようって…』

伸ばしていた腕を下ろして悲しいようなそんな声で言葉を零す。
「それは、俺が信用されてないってことか?」なんてそんなこと有るわけ無いとわかっていてもわざとらしく聞いてみた。すると即座に否定の言葉が返ってきた。

『違うよ。…ただ、風丸が居なくなったら私には何にも無くなっちゃうから。それが不安なの…。』

「心配するなよ、俺はみょうじの傍から居なくなったりしない。」

そもそも、俺が最初に求めたんだから俺から遠ざけることなんて恐らくは絶対に無い。恐らくなんて単語が入ってしまうのは、きっと断言できる程俺は強くないからだ。

『…うん、ありがとう。』

そう言って微笑んだ。目もちゃんと笑ってくれているのか?それがわからない、わかりたくないし確認する勇気も無いから笑ってくれていると勝手に決めつけた。


みょうじを抱きしめ、キスをすると、それだけでみょうじは安心したかのように眠った。静かな呼吸の音が耳元で聞こえる。俺が腕を退けると支えをなくした体はゆっくりと倒れていった。





そっと、目隠しをとると睫毛の長い綺麗な目元が見えた。
みょうじがこの眼で今の俺を見たらどう思うのだろうか、微笑んでくれることは疎か、俺を求めることも無くなるんだろうな。そう考えると、恐くなるのと同時に憎ましくなった。




みょうじはいつまで、俺を必要としてくれるんだ?こんな俺を許してくれるのか?


求めていたのも、不安になっていたのも、本当は俺だけなんじゃないのか…?



――――――
両想い、というか監禁されて全て失ったから風丸を求めるしか無くなった。という感じかもしれない。

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