イイング救出大作戦! ver.スペクター

「ん・・・・・・」

 「疲れた」という訳ではない。しかし、どうにもこうにもすぐには起き上がれないような気だるさが全身に走る。それもそのはずだ。何せ、自分は戦闘中に怪我をしたのだから。しかも、まだ戦いは終わっていない。目覚めたこの場をどう見渡しても、味方が居る気配はない。

「疲れた」という言葉で締め括ることができたら、それはどんなに幸せだろうか。

 さてこれからが大変だ。一体何が大変かって?それは、これから自分独りでこの状況をどうにかしなければならないことである。チームメイトが怪我をしても何をしても、任務の遂行が最優先。○○の所属するU.S.S.は仲間の生還など二の次だった。故にここには自分しか居ないのだ。

 みんな心配してるかな・・・?

○○はU.S.S.のデルタチーム、その中の「ウルフパック」という部隊に所属していた。先日は仲間と飲みに行ったし、ランチも食べに行った。割と仲の良いウルフパックである。

「でも、任務は最優先だからな・・・」

「誰か!スペクター!ルポ!?バーサ!!」
 
 誰もこちらからの呼び掛けに答えない。そして、仲間からの通信もなし。口を利く気がないのか、それともただ単に通信機が壊れているだけなのか。

 ○○の頭に「見捨てられた」という言葉が過る。

 このような状況から独りで生還しなければU.S.S.ではやって行けないということなのだろうか。

 ○○は通じているのか否かわかならい無線を見つめると、ゆっくりと自分の口を寄せる。

「こちら○○。出口を探し、部隊と合流を目指します」

 そして、

「あぁ、そうだ、無線が聞こえたら返事を返すように!!私がこんなことになってるのはみんなのせいなんだからね!責任持って援護して下さい!!」

 任務の成功が最優先でも、仲間のせいでこうなったこの状況は頂けない。

 ○○はハンドガンを構えようとホルスターに手を伸ばす。しかし、銃やナイフなどの武器は全てなくなっていた。

「ちっ・・・」

 舌打ちをすると、○○は部屋のドアにそっと手を掛けた。

 独りで平気はフリをしているが、実はほぼダイイング状態である。

[ back to top ]

- 1 -

[*前] | [次#]
[ Main ]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -