べっとり濃厚キス

「ねぇ、何でいつも激しいの!?マルコ?」

「え?激しいのが好きだから!」

 ○○の質問にマルコは即答する。

「そうじゃなくてっ!好きとか嫌いとかの問題じゃなくてっ!」

 たまには、軽く『ちゅっ』っていうのもして欲しいんだもん・・・。

「マルコ・・・軽いキス・・・爽やかなのして?」

 マルコの膝の上に載ったまま、○○は続ける。

「だって、いつも激しいキスで・・・それが嫌って訳じゃないんだよ?でも・・・軽いのもたまにはして欲しいの・・・」

 ○○は再びそっと目を閉じた。

「わかった」

 しかし、いつまで経ってもマルコの唇の感触はない。

 あ、あれ・・・?マルコ、何してるんだろう・・・。

 ○○は未だ目を閉じたまま、心の中で眉間に皺を寄せる。

 おっそいな〜・・・!!

 心の中で眉間に皺を寄せるだけでは済まなくなってきていた。○○は薄目を開けて、目の前に居るマルコの様子を伺う。すると・・・。そこには自分の唇を尖らせるようにして突き出し、○○の唇のすぐ正面でぶるぶると震えるマルコが居た。

「ちょっと!!!」

 ○○はびっくりしてマルコを突き飛ばし、その場に勢いよく立ち上がる。

「マルコ、何してんのっ!?」

「“何”ってキスだけど・・・・・・でも」

 マルコは当たり前のように答えると身を起こす。しかし、深刻な表情で○○を見つめた。

「でも?」

 いきなり深刻になったマルコの表情に、○○は首を傾げたいような心配のような気持ちになる。

「俺、そのキスはできないわ・・・」

 え・・・・・・!?

 “そのキス”とは○○の言った『ちゅっ』っとするような『軽いキス』のことだろう。

「ど、どうして!?いっつもあんなに激しくべろべろするんだから、軽いのくらい簡単でしょう!?」

 ○○は不満そうな顔をした。

「おいおい!そんな顔しないでくれよ!『したくない』とは言ってないだろう?“できない”って言ったんだぜ?俺は」

「どういう意味なの?」

「だから―」


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