賑やかな音楽に、甘くて美味しそうなポップコーンの香り。エージェントと一緒にB.O.W.ランドにやって来た○○は、嬉しそうにあちこちを見つめている。

「ん〜！！エージェントさん！あれに乗りたいですっ！！！」

　○○が指さすのは、ジュアヴォと呼ばれる生物が武器を構えていて、薄気味悪い笑いをしている絵が目立つ入口だった。そう、アトラクション『ジュアヴォさんのエージェントハント』だった。サナギ色（はっきり言ってあまり綺麗な色ではない）をした卵型の乗り物に乗って激しく縦横に揺れ、時には跳ねながら「エージェント」と呼ばれるヒーローたちを捕まえるアトラクションである。乗り物の先端にセンサーが付いていて、アトラクション内に居るヒーローを見つけ、タイミングが合った（ヒーローマネキンや、絵、動くヒーローにもセンサーが付いていて、互いのセンサーが合うと金色に光る）時にボタンを押すとハント成功になるのである。しかし、乗り物の激しい動きにより、アトラクション時間の20分の中でハント成功を成せる者はごく稀だと言う。

「エージェントさ〜ん！！」

「いいぞ！乗るか！！」

　○○がエージェントの手を引っ張ると、彼は笑って返事をした。

　○○はこの時知らなかった。エージェントが、『エージェント』という呼び名らしからぬ笑みを浮かべたのを。