私のが終わる時

 どれ程の時間が経ったのだろうか。より一層の暗闇と静寂に取り囲まれ、恐怖だけが増加していくようだった。

 しかし、そんな静寂の中に、何かの音が聞こえてきた。風邪を切るような何かがもの凄い速さで回転しているような・・・。

「っく・・・!」

 ○○は照準の定まらない目で己の身の周りを探り、銃に触れる。

 音は遂に天井の真上まで来たようだ。空中で留まっているようなその音は、どこかで聴いたことのある音によく似ていた。

「ヘリの・・・音・・・?」

 ロケットランチャーを撃った何者かの仲間が追撃のために来たのかもしれない。

 ○○は震える手で銃を握ると、天井に向ける。

 その刹那―

 時が止まったかのような数秒間だった。硬い物が砕ける大きな音がして、急に天井に穴が開いたのと同時に、ロープを装着した人が自分の視線上に着地したのだ。

 ぼやける視界の中で蠢く、人型の陰。

 遅れてその陰に銃を向ける○○。

「○○!」

 ○○がその陰を特定する前に、その陰は名前を呼ぶ。そして、その陰は○○のすぐ前まで来て、片膝を立てた。

「○○!しっかりしろ!」

 目の前のそれに必死に焦点を合わせる。

 黒い色の服に、赤と白の模様の入ったヘルメット・・・。それは・・・

「ウルフ・・・先輩・・・?」

 ここで、○○の意識は途切れた。


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