「遠い存在」とか、「自分とは到底釣り合わない」だとか、そんな風に感じる人を好きになってしまった。そんな経験は、あなたにはありますか?

 私にはあります。と言うより、今正にそうなのです。

 私の好きな人・・・ローンウルフと呼ばれる人はチームの先輩で、ヘリコプターの操縦や武器の扱いを教えてくれます。口数は、少ないのかと思いきや、意外にも結構喋る人で、その声が爽やかなのを、私はよく知っています。特にアルファチームのハンクさんとは仲がいいようで、憎まれ口や皮肉も結構利いているようです。

 私はローンウルフさんを「ウルフ先輩」と呼んでいます。でも、そんなふうに呼んでも、あまり多くの会話はしたことがありません。きっと優秀なウルフ先輩からしたら、ヘリコプターの操縦はまだまだ、武器の扱いもまだまだな私は、足手まといな存在なのでしょう。

 それはもう既に十分わかっています。自分とは到底釣り合わない存在であるということは。そして、「憧れ」という言葉が自分にはぴったりで、手の届かない遠い存在だからこそ「憧れ」で居られるということもわかっています。

 でも、それじゃ悲しいじゃないですか。だから、最近頑張っているんです私。訓練が終わった後、わからない所の質問をして教えてもらっているんです!あ!聴いて下さいよ!!ついこの前、ヘリコプターの操縦桿の操作のアドバイスを貰ったんです!!その時は、操縦桿を握る私の手をウルフ先輩が握って教えてくれて・・・!背中のすぐ後ろにはウルフ先輩の体温を感じて・・・!!「変態じゃないか!」って言われるかもしれないけど、本当に嬉しかったんです!!ちょっとずつ会話も増えて・・・「頑張れよ!」なんて言ってもらえて・・・!

 ただ素直にウルフ先輩が大好きで、憧れで、無謀だとわかってるけど、嬉しくて・・・。

 でも・・・そんな私の恋も、もうすぐで終わっちゃいそう・・・。


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