ダイイング救出大作戦!
そもそもなぜ○○は、谷底に落ちたのか。なぜ、ダイイング状態になってしまったのか。それは、時間を少し巻き戻せば簡単にわかる。
―10分前。
BSAAアルファチームはある任務についていた。しかしそこで、思わぬ敵に遭遇してしまった。しかも場所は橋の上。深い谷底を背景にした高架橋だ。すぐに戦闘を開始したアルファチーム。ここまではいつもと何ら変わらず、何の問題もなかった。
しかし!ここからが○○がダイイングになるまでの惨劇となった!
敵の爆破によって、○○の真下にヒビが入った。そのヒビに○○が気付いた時は既に遅く、そのヒビが崩れた瞬間だった。○○の足は瞬時に180度開脚をすることとなった。その時の股関節にかかるダメージ・・・。
股関節が裂けるのではないかと思う程の痛みを我慢しながら、○○は間一髪で崩れなかった方の橋の縁に腕一つで掴まった。つまり、体は宙ぶらりん。そこから橋に上がろうとした時に、縁を掴んでいる手を思い切り踏まれた。しかもフィンに。(もちろんフィンは気付いていない)この時の、腕一つで自分の全体重を支える辛さと、踏まれた時のダメージ・・・。
ようやく橋に戻り態勢を立て直そうとした時に、これまた良くないことが起こる。○○の目の前に敵が居た。とっさに銃を構えたのだが、○○の視界に見慣れた腕が飛び込んできた。七分丈の戦闘着、ピアーズの腕だ。○○の目の前に迫ってくるピアーズの腕。これは「危ないから下がってろ!」という合図だと○○は判断した。しかし違った!そのまま敵と仲良くピアーズの「後ろ肘打ち」をくらう。そしてよろめいた時に、これまた仲良く、ピアーズのライフルによる「ストック殴り」をくらう。そして最後に、またしても仲良く、ピアーズの回し蹴りをくらう。(もちろんピアーズは、このことに、これっぽっちも気付いていない)この時の、「敵と一緒に自分も攻撃されている」という残念すぎる心情と、ピアーズによる数々の体術のダメージ・・・。
ピアーズの回し蹴りによって吹っ飛ばされた○○は、そこらへんにあった車に凄まじい勢いで全身を打ち付ける。頭は強打していた。この時の全身と頭へのダメージ・・・。
何とか立ち上がった○○を更なる悲劇が襲う。○○に向かって飛んできた大きな背中があったのだ。隊長のクリスの背中だ。クリスは○○にぶつかり、気が付けば○○は再び地面に倒れた状態となっていた。しかも○○の体の上にクリスの大きな体が乗っている。つまり、○○は体重100キロのクリスの下敷きに・・・。これだけでもかなり悲惨だが、これだけではない。クリスが立ち上がろうと手をついたのだが、手をついた場所がまずかった。○○の腹、肋の上だ。クリスが立ち上がるまで、○○の腹にはクリスの体重による負荷がもの凄くかけられた。しかも一点に集中したピンポイントな場所に。クリスの指先は○○の肋に、掌から手首は○○の腹に・・・。メキメキと音をたてる○○の肋。内臓が口から押し出されるのではないかと思う程クリスの手がめり込む○○の腹。(もちろん、クリスは全く気付いていない)この時の、体重100キロの荒ぶるおっさんの下敷きになる辛さと、肋と腹へのダメージ・・・。
この時既に瀕死状態を迎えつつあった○○は、やっとのことで立ち上がり、よろよろしながら、回復をしようとポケットからタブレットを取り出す。
しかし、終焉―。
敵が用意していた戦車の砲身が勢いよく、ぐるりと回った。
飛び散ったタブレット。○○の体は宙を舞い、橋から飛び出てしまった。この場所は高架橋、下には谷底を流れる川が待っていた。
―そして、時間を元に戻す。
「○○!!○○!?大丈夫っ!?・・・ねぇっ!?」
フィンは無線で声を荒らげた。
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