寒い訳ないでしょう?こんなに火照った体して
ある日の朝、早いとは言えない起床の後、フィンはシャワーを浴びていた。最近は春に近づきつつあるが、底冷えが続くここ幾日、まだまだ冬真っ只中と言ってもおかしくはなかった。
「ふぅ」
シャワーの湯気が経ちこめる中、フィンは石鹸の付いた手で首筋をなぞった。
その時だった。
「フィンくーん!!!」
バーンと開け放たれるバスルームの扉。今まで温かかった中に居たフィンは、急に入ってきた外気と声に体を震わせた。
「ちょ、ちょっと○○!そこで何してるのっ?」
扉の横に隠れるようにして居る○○を横目で確認したフィン。シャワーを止めすぐ傍にあるタオルと引っ掴むと、石鹸に濡れた体に巻き、前を隠した。
「ご、ごめんなさい。シャワー中だったんだね・・・」
“驚かそうと思って手当たり次第にドアを開けたら、まさかそこに居たなんて”と○○は顔を真っ赤にして俯いている。
「○○・・・」
フィンの中で何かが動いた。○○のブラウスの襟元から見え隠れする鎖骨、頬を赤くして少し俯いた○○、そして今の自分の状態は、あることを思い起こさせるのに十分だった。
「・・・・・・○○、ごめんね」
フィンは○○の腕を掴み、バスルームの中へと引きずり込んだ。
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