I'll never forget my broken heart...

 一週間前・・・。

「○○!この本見て!“お菓子の家メフィス”の大特集してるよ!!」

「えっ!?本当に!?」

 友達と本屋でお菓子の本を見ていた○○。友達が何気なく手に取った本は、街で大人気のお菓子屋である「お菓子の家メフィス」の大特集が載っていた。

 知らない人は居ないという大人気のお菓子屋、お菓子の家メフィス。お菓子は種類が豊富に売られていてとても美味しく、その上お菓子作りに必要な道具や材料は全て揃っているという完璧な店。店もとてもかわいらしい造りと雰囲気で、特に女性からは凄く人気があった。いつ店の前を通り掛かっても人だかりができていて、お菓子は売り切れてしまうことも多かった。

「わぁ〜!」

 ずっと前からお菓子の家メフィスに行ってみたかった○○。本の中の大特集の文字に釘付けになった。

「行きたいな〜!!でも・・・バレンタインだから、いつも以上に混んでるんだろうな・・・」

 2月の寒空の中、あと一週間でバレンタインを迎えようとしていた。

 ○○が想うのは、恋人のベクター。付き合って三年が経とうとする大切な時期に、心からの「大好き」を伝えたいと、いつも以上に気持ちがこもっていた。そして、パウダーからチョコレートを作ろうと計画し、お菓子の家メフィスで材料を買いたいと思っていた。しかし、雑誌で大特集をされてしまえば、更に混むのは目に見えていて、材料も売り切れだろうなと、○○はがっくりと肩を落とした。

「○○・・・。ベクターさんにチョコ、渡すんでしょう?・・・あのお店、材料も大量にあるみたいだから大丈夫だよ。ほら、行こう?」

 友達の優しい言葉に頷き、そのままお菓子の家メフィスへと二人は向かった。




 お菓子の家メフィスで買った材料で作ったチョコレートは、とても美味しいものになった。○○は何度も味見をして、その度に、今まで食べた中で一番美味しいと思う程だった。

「ベクター、喜んでくれるかな」

 ○○は、大好きなベクターを思い浮かべては自分が嬉しくなるのだった。


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