れてもいいか?

 ○○と別れた喫茶店を通り過ぎ、彼女の背中が見えなくなった場所まで突っ走る。

―スペクターさーんっ!!

 徐々にはっきりと聞こえる己を呼ぶ声に、スペクターは地面を蹴る足に更に力をこめた。

「○○っ!・・・って・・・え?」

 ○○の声に導かれ着いた場所は公園だった。必死に○○の姿を探すと、野良犬に追いかけられて滑り台に上り、うずくまっていた。

 何だこの光景は・・・。

 スペクターは唖然としてしまった。最初に聞こえた音、そして己を呼ぶ声に、○○に何があったのかとこれ以上ないくらい心配していたのだ。もしも変な男に襲われでもしていたら・・・と恐怖さえ覚えていたのだ。

 それが・・・これ・・・なのか!?

 いや、これだからよかったのか。○○の身に何もなかったのだ。よくない訳がない。

 スペクターは滑り台の下でウロウロと、いつまでも吠え続ける野良犬を追い払った。それを見ていた○○がゆっくりと滑り台から下りて来る。

「大丈夫か?・・・全く・・・俺の心臓が潰れるだろ・・・!!」

「ご、ごめんなさ・・・あっ・・・!」

 スペクターを見上げ、嬉しそうな声を上げた○○。

「スペクターさん、初めて私を抱き締めてくれましたね!」


[ back to top ]

- 4 -

[*前] | [次#]
[ Main ]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -