触れてもいいか?
「ん?」
何か聞こえたような気がしたスペクター。普段、どんな小さな音も聞き逃さない訓練をしているせいか、音という音につい敏感になってしまう。
「全く・・・職業病とはいつも厄介だ・・・」
聞こえた何かもいつものことだと思い、スペクターはそのまま自宅へと向かう。
歩くこと数分、スペクターは何とも言い難いものに支配されていた。なぜだかわからないが、先程聞こえた何かが異様に気になるのだ。一歩、また一歩と進む度、決して良いとは言えない心臓の高鳴りを、スペクターは感じていた。
・・・んん?
スペクターのその足は、やがて自宅へ帰るのを放棄した。
再び何か聞こえたような気がしたスペクター。しかしその音は、“聞こえた気がした”ではなく、しっかりとした波動としてスペクターに伝わっていた。
こういう時の予感、嫌な予感とは当たるもの。
「全く・・・職業病とはいつも厄介だ・・・」
スペクターは踵を返すと走り出した。
「○○っ!!」
[ back to top ]