最後の言葉
「○○ーーーーーっ!!!!」
遠くで断末魔のような、世界最後の日に上げるような、レオンの叫び声が響いた。
「○○っ!」
レオンは急いで駆け寄ると跪き、○○に手を伸ばした。
「○○、聞こえるか・・・こんなところでくたばるオマエじゃないだろ。○○、目を覚ませ・・・俺の知ってる○○はこんなところでくたばる女じゃない。悪運の強さはお互い様だろ」
レオンは横たわる○○を抱き締めた。
「・・・レオ・・・ン」
何度も何度も地面に叩き付けられた○○。もう起き上ることは叶わない体で、目だけを微かに開いた。
自分はレオンに抱き締められている。レオンの姿、その表情が、ぼやける視界の中で輝き、○○は力ない微笑みを作った。
・・・やっと、その瞳に私を映してくれたね。
これで・・・私はあなたの中にずっと居られる。
「レ・・・オン・・・私・・・ずっとあなたに・・・言いたかったことが・・・あ・・・・・・あるの」
あなたの顔を見ながら、あなたの腕の中で「最後の言葉」を伝えられるの。私、凄く幸せ。
「レオン・・・」
○○は最後に微笑むと、レオンの頬に震える手を伸ばした。
「レオン・・・鼻毛出てる」
「・・・え?えぇーーーーっ!?!?」
レオンの最大級のマヌケな顔と声が広がっていく。
ふふ・・・。あなたの驚いた顔、最高。これが“私があなたにずっと言いたかったこと”。随分前からその鼻毛が気になっていたの。鼻毛が出てるのに気付かないで、あーんなキザなこと、よく言えたもんだわ!バカでマヌケでどうしようもないわ!ま、鼻毛うんぬんの前に、キザすぎるのを直した方がいいけど。
○○はレオンの手を払いのけ、さっさと起き上った。
私が死ぬ訳ないでしょ?レオン・・・あなたのキザすぎて残念なところを、まだまだサプライズで教えてあげないといけないんだから・・・。
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