お菓子をくれなきゃ・・・
真っ暗な部屋の中、一つの蝋燭の灯りがある男女の影を映し出す。蝋燭にかぶせられたカボチャは三角形の目とギザギザの口が刳り貫いてあり、静かな室内ではあるが、どこか悪戯な雰囲気が漂っていた。
「ねぇ、クリス・・・」
蝋燭の灯りに合わせ、○○の瞳が揺らめいた。絨毯の上に胡坐をかく彼の膝に跨り、ゆっくりと首に腕を絡ませる。
「お菓子ちょうだい・・・?」
クリスの耳元で囁かれる○○の声。
「そんなものはない」
静かで落ち着いた彼の声。
「どうして?今日が何の日か、クリスも知ってるでしょう?」
○○は先程よりも耳に近いところで囁いた。吐息混じりに口を開き、ほんの僅かに唇で耳に触れる。
「お菓子をくれなきゃ―」
「どうしてくれるんだ?」
○○が言い終わらない内に、言葉を発したクリス。彼の目もまた、○○と同じように揺らめいていた。
「お菓子をくれなきゃ・・・どうするんだ?」
クリスは意地悪げに笑うと、自分の膝に跨った○○の腰をゆっくりと引き寄せた。
「そんなの、決まってる・・・」
彼のその言葉に答えるように、○○は顔を傾ける。
「こうするの・・・」
そう言うと、○○はクリスの唇に自分の唇を重ねた。そして、何秒かの後、ゆっくりと唇が放れていく。
「“お菓子をくれなきゃイタズラするぞ”・・・そのイタズラがまさかこれだけじゃないよな・・・?」
クリスは更に意地悪げに笑った。
「○○・・・菓子が欲しいか・・・?」
「いらな―」
“いらない”、○○がその言葉を言い終える前に、クリスは彼女の口を塞いだ。彼女の腰にあった両手は服の中へと潜り、上へと動いていく。
「○○・・・お菓子をくれなきゃ・・・どうしてくれるんだ?」
真っ暗な部屋の中、一つの蝋燭の灯りがある男女の影を映し出す。悪戯な雰囲気が漂う中、女の返答を待たずに、その灯りは勢いよく吹き消された。
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