カボチャ仕様
「ハンク・・・ハロウィンだからそんな恰好したの・・・?」
相変わらず倒れた恰好のまま、○○は訊いた。
「あぁ。これからパーティーだからな。○○、お前も行くだろう?」
ヒットポイントゼロのまま、○○は何やら思い出したような表情を作る。
そう言えば、随分前からハンクはハロウィンのために何かの用意をしていると言っていた。それに、パーティーがあることも言っていた。
「あ、う、うん。行く・・・けど、私も行っていいの?」
「当たり前だろう!」
ハンクに手を取られ、ゆっくりと引き起こされながら○○は訊いた。彼がしゃがんだ際、決して見ていて気分の良くなる物ではない物が、先程よりも大きく視界に入り余計にはっきりと見えてしまったが、もうどうでもいい。
「じゃあ、私、魔女の恰好でもしようかな!」
パーティーまでまだ時間はあるし、魔女の恰好ならば去年の物が残っているはずだ。メイクや小物でカバーすれば大丈夫だろう。
「う〜んと・・・・・・あ、あったーっ!!・・・ぅわっ!!!」
○○がクローゼットの奥で魔女のローブを見つけた時だった、ハンクに勢いよく手を引っ張られた。
「○○、いったい何をやっている!?」
「いや、“何”って、パーティーの準備・・・魔女の恰好を・・・」
きょとんとしながら、○○はハンクを見上げる。すると、先程の全身オレンジの恰好のままの彼が、両腕を自分の後ろでゴソゴソとし始めた。
「○○〜!!!」
後ろから両手をバッと出したハンクが、ニヤニヤした顔をしている。その両手には・・・。
「えぇぇぇえぇえええ!?!?!?」
そう、彼の両手にはお揃いの全身ピチピチのオレンジ色タイツ。つまり、○○はハンクを同じ恰好をさせられるという訳だ。
着替えを手伝ってやる、と言わんばかりに近寄って来るハンク。全身ピチピチのオレンジタイツでカボチャになる自分を想像し、○○は高速で逃げ出した。
「嫌だよ!そんな全身ピッチピチのタイツなんか!!」
「いや、ダメだ!お揃いがいい!!」
「嫌だってば!!」
「いかん!!お揃いだ!!」
数時間後のパーティーにて・・・カボチャ仕様で仲良く寄り添う○○とハンクの姿があった。
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