ボチャ仕様

「○○、いったいどうしたんだ?さっきから」

 “いったいどうした”と訊きたいのはこちらである。

「ハンク・・・うっぷ・・・何?・・・その恰好・・・」

「何って今日はハロウィンだろう!」

 ○○がヒットポイントゼロの顔で訊けば、ハンクは腰に両手を当て得意げに言葉を返した。

 そんなハンクの恰好―。ハロウィンだから仮装でもしたというのか。全身がオレンジ色である。しかも、身体に対してピチピチのオレンジ色タイツである。腕や足、筋肉やら何やらが浮き出る程のピチピチ。そう、倒れて顔だけでハンクを見上げている○○からすれば、決して見ていて気分の良くなる物ではない物までがはっきりと浮き出て見えてしまう。先程の『それ以上こっちに来ないで!』という○○の静止は、正しくそれに対してなのだ。

 そしてハンクの頭―普段の戦闘服と言えば、防毒マスクなのだが、そのマスクはどこへ行ったのやら。まぁ、家の中までマスクをしている人間も居ないか・・・。

 しかし、彼の頭には、何やらモコモコしたような形の物が被されている。なんと、そのモコモコはオレンジ色のカボチャの形をしていて、眼の部分は赤い三角形になっている。口部分も赤くギザギザになっていて、どうやら『防毒マスク・ハロウィン仕様』らしい。そのギザギザにはきちんと浄化装置が入っているようだ。

 『防毒マスク・ハロウィン仕様』と言うよりも、『ハンク・ハロウィン仕様』・・・いや、『カボチャ仕様』と言った方がいいかもしれない。

 しかしなぜ、ピチピチの全身タイツなのだろうか。なぜ、頭のカボチャは防毒用にする必要があったのだろうか。防毒マスクがトレードマークの彼ならば、仕方のないことなのか・・・。


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