「っわっ!!」

 BSAAオフィスビルのエレベーターに乗った○○は、扉が閉まる寸前に急に現れた人物に短く悲鳴を上げる。

「クリス隊長・・・!」

「やぁ、○○」

 ○○が驚いた顔をしながら彼の名を呼ぶと、クリスは嬉しそうに笑った。

「一体どうしたんですか?そんなに急いで。何か急ぎの用事ですか?・・・ああ、それより、クリス隊長、何階ですか?」

 自分は下りる階のボタンを押したが、クリスは押していない。このままでは彼も自分の下りる階に行ってしまうと、○○は数字の書かれたボタンに手を伸ばす。

「いや、用があるのは○○になんだ・・・」

 クリスはそう言いながら、ボタンに手を伸ばす彼女の手をとり、ゆっくりと顔を近づける。

 重なる二つの唇。

「クリ、ス・・・たい・・・ちょ、ぅ・・・」

 二人っきりの静かなエレベーターの中で、○○の微かな甘い吐息だけが響く。

 クリスは唇を放さぬままチラリと今の階を確認すると、次の階で止まるようにボタンを押した。

 やがて、階を告げる音がしてクリスが○○から離れていく。

「続きは今夜な」

 エレベーターに一人残された○○は、顔を真っ赤にしながら自分の手に持たされている物を見つめる。口付けの最中にクリスに渡された物だ。綺麗にラッピングされた袋である。

 袋を開けると、色とりどりのキャンディーが入っていた。そして、一枚の紙切れを見つける。

「ん?何だろう・・・?」

 ○○が二つ折りの紙を開くと、そこにはクリスからのメッセージが書かれていた。

夜、家で待っている  Chris,


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