象に残るホワイトデーをあんたに!

 夕方に○○と待ち合わせ、夕飯時になった午後7時、ピアーズと○○は、とある飲食店に居た。掘りごたつに鉄板・・・そう、お好み焼き屋である。

「○○、好きなお好み焼き、選んでくれ」

「うん!」

 ○○が嬉しそうにメニューを開き始めたのを確認すると、ピアーズは店員を見つめた。

 ・・・よし!今だっ!!

 ピアーズはベルがあるにも拘らず、店員に向かって“ビュッ”と音がしそうな程もの凄い勢いで手を上げる。今ならその手が銛として使用できるに違いない。

 そんなピアーズに対し、○○も店員も驚いて体をビクつかせる。しかしかわいそうなことに、店員はどんな客でも注文を承らなくてはいけないのだ。恐る恐る近づいた店員がピアーズの傍にしゃがんだ。

「ドリンクバー2つ下さい!!」

 ピアーズは力強く言葉を発し、“以上で!”と注文を終わらせようとする。それを聞いた店員は助けを求める様な顔で○○を見つめた。

「あ・・・じゃあ、これとこれを一つずつ・・・」

 何を注文するかまだ決めていなかった○○だが、あまりにも店員が気の毒なので、開いていたメニューのページを適当に指差す。

「ピアーズ、どうしたの?」

「別にどうもしないが」

 何が何だかわからないと言いたげな○○に、ピアーズはニーッと笑う。

「○○、ドリンクバー、何飲む?」

 飲み物を取って来ようと腰を上げ、ピアーズが肩越しに○○に尋ねる。

「・・・う〜ん、ウーロン茶!」

 ホワイトデーのお返しにウーロン茶味はよろしくないだろ・・・。ジュースにしろ。俺だけガキみたいじゃん。メロンソーダ飲んで喜んでるの。

「・・・ジュースにしろよ。俺と同じでいい?」

 ピアーズは鉄板の温度を「強」にすると立ち上がった。


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