象に残るホワイトデーをあんたに!

 バレンタインデーは○○に手作りチョコを貰った・・・。じゃあ、ホワイトデーは俺も何か作ろうかな・・・。何がいいだろう。やっぱり飴か?鍋で砂糖を溶かすか?ああ、でも、味は何にしよう。イチゴジャムでも入れるか?いや、牛乳がいいか?う〜ん。

 まぁ、慌てるな俺。あれこれ考える前に、大事なことを忘れてるぜ。

「俺、料理できないじゃん!」

 リビングのソファーに腕組みしながらふんぞり返って座り、大股を広げていたピアーズ。至極まともに何を作ろうかを考えていた訳だが、その前に自分は料理ができないということに気付き、目の半分が白目になった状態で天井を見上げる。

「何かないのかよぉ〜」

 ピアーズは立ち上がり、キッチンの棚をガサゴソと見て回る。しかし使えそうなものは何もない。

 急がなければ時間がない。何と言ったって、今日がホワイトデー当日なのだ。しかも時刻は昼の12時を迎えている。夕方に○○と会う約束をしていたので、ピアーズはそれまでに作り終えたいと必死になって考えていた。

 しかし、夕方までの数時間で、料理ができない男がお菓子など作れる訳がない!そのことが全くと言っていい程頭にないピアーズ。そのくせ、コンセプトは「印象に残るホワイトデーをあんたに!」である。

「冷蔵庫は?あっ!!」

 冷蔵庫を開けると、バナナオーレがピアーズの視界に飛び込んできた。隊長のクリスから昨日貰った物である。

「バナナオーレ・・・つまりはジュース・・・」

 ピアーズはそのバナナオーレを手に取り、ジュース、ジュースと黒魔術のように呟く。ふと、テーブルの上の広告に書いてある、冷凍食品の「お好み焼き」に目がいった。

「あ・・・見つけた!」

 印象に残るホワイトデーを見つけたと、ピアーズはにっこりと笑った。


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