あなたからのチョコを他の人のチョコと一緒にする訳ないでしょう?
―見て!フィン君よっ!きゃーっ!カワイイっ!!!
たれ目と優しい喋り方で、年上の女性から大人気のフィン。今日はバレンタインデーで朝からずっとこの調子だ。事務や総務部の女性が覗きに来ては黄色い声をあげている。夕方の仕事疲れが出る時間でもいつもニコニコしているフィンも、さすがに疲れた顔をしていた。
ううう・・・疲れた。
フィンの机の上には、こんもりと山盛りのチョコレート。席を離れていて、帰ってくれば机にチョコレートが置いてある。どんなに断ってもこの繰り返しだったのだ。知らない部署の年上の女性からのチョコレート。しかも、義理チョコでももちろん本命でもない、よく訳のわからないチョコレート。
フィンは机の上の雪崩の起きそうなチョコレートの山を見つめた。
・・・これ、どうしよう・・・
甘い物が好きなフィンでも、さすがにこれだけのチョコレートは消費するのに時間がかかる。よく見ると差出人の名前が箱に書いてある物や手紙付きの物もあり、そういった感情が詰まった、それでいて誰だか知らない人からの物はどうするべきか悩んでしまう。
これ全部にお返しするの!?僕!?
このチョコレートの山全ての量を、ホワイトデーで自分は返すのかと思うと、フィンは頭が痛くなるのを感じた。
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