のバレンタイン

 小包は○○からのものだった。これは自分への贈り物でしかないと、ピアーズは顔を緩ませながらリビングのテーブルの上に小包を置く。すると、ズボンのポケットで携帯が鳴り始めた。

『あっ、もしもし?ピーちゃん!?』

 心地よく響く、想い人である○○の声。

「おう!宅急便、わざわざありがとうな!!届いたばっかりで、今開けてるところなんだが・・・」

 ピアーズは携帯を耳と肩の間に鋏ながら、ガムテープを剥がしていた。

『あのね、ピーちゃん。実はそれ、間違えて他の物贈っちゃったの!!』

「ん?別に構わないぜ?」

 多急便の中身がチョコレートだろうがクッキーだろうが、食べ物であろうがなかろうが関係ない。自分の元へと送られて来たのだ。何であれ、自分へのバレンタインの贈り物であることに変わりはない。

「何と間違ったの?」

『・・・お肉・・・』

「へぇ〜。肉か!」

 そうか、肉か。ひき肉ならハンバーグでも作って冷凍しておこう。肉ね、肉。・・・ん?・・・・・・肉!?

 ガムテープを剥がし終わり、蓋を開いたピアーズ。箱の中に詰まっている真空パックの肉やハムに、思考が一瞬停止した。

「・・・なぁ、これ、一体どうやって間違ったんだ?」


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