チョコレート・サンプルを回収せよ!
「う・・・ん・・・ここは・・・?」
目を覚ました○○。しかし、見たことのない天井、見たことのない部屋に頭が混乱している。バーキンに殴られ、気を失ったところまでは覚えている。となると、そのままバーキンに掴まり・・・?ここがバーキンの部屋なら、これからたっぷりと痛めつけられるはずだと○○は急いで寝かせられていたベッドから転がり下りた。
「あわわ・・・どうしよう!!そうだ!マスターは?どこ!?ベクターは?スペクター!!」
「・・・何だ。騒々しい」
隣の部屋からコーヒーを持って現れたハンク。なぜ彼がここに居るのか。○○の頭はますます混乱した。
「ここ・・・バーキンの部屋ですよね?」
「違う!私の部屋だ!!」
「マスターの部屋!?何で!?」
「落ち着け○○、聞け」
慌てる○○を呆れた目で見つめたハンクは、○○をまたベッドに戻した。
「いいか?お前が気を失った後、なぜかU.B.C.S.隊員が私たちに加勢した。・・・おそらくバーキンがお前を痛めつけるのには賛成できなかったんだろうな。“○○を痛めつけるのはこの俺だ!”とか“俺が○○に優しくするんだ!”とか叶わぬ変態な夢をほざいていたからな」
「・・・回収したチョコレート・サンプル・・・マスター使ったんですか?」
○○はハンクに布団を掛けられながら、不安な目を彼に向けた。ハンクがあのサンプルを好きな人に使ったのだと思うとたえられなかった。
「最初に言ったはずだ。そんな気はないと」
「じゃあ、どうして?」
「お前を他の男に渡したくなかった。それだけだ」
ハンクの目的は例のサンプルが○○を狙う男の手に渡るのを阻止すること。サンプルを手に入れ、破壊してしまえさえすればよかったのだ。
“ゆっくり休めよ”と言い残し、部屋を出て行こうとするハンク。○○はその背中に手を伸ばした。
“お前を他の男に渡したくなかった”なら、私のチョコ行け取ってよマスター!
「マスター!!・・・任務、まだ終わってませんよ!回収してないチョコがまだ一つ残ってます!」
「何だと?」
「私のチョコの回収がまだ・・・ってあれ?マスターへのチョコがないっ!?任務中でもいいから渡したいって腰のポーチに入れておいたのに!」
「ああ!お前のチョコなら、お前の目が覚める間に食ってしまった」
「え!?」
“ほら”とハンクは空になった包みを見せる。
ちょっと待って!?私のこのいい感じの告白どうなるの!?ちょっとぉ!!
「回収できてないのは・・・お前だけ・・・だな。まぁ、既に私の部屋に入ってそのベッドに横になってる時点で回収したようなものだがな」
ハンクはそう言うと、不敵に笑う。
「○○、お前を回収させて頂く!!」
その言葉と同時に、ハンクは○○にかけられている布団を力強く捲った。
ハンクの部屋の前で耳を澄ませていたベクターとスペクター。彼らにはハンクと○○のやり取りがばっちり聞こえていた。
「やるな、マスター!」
「俺がエビ固めくらったお蔭だな・・・」
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