ョコレート・サンプルを回収せよ!

「トレーニングを忘れるな!奴らが接近してきたら近距離戦だ!」

 U.B.C.S.隊員が銃を撃ちながら近づいて来る。敵に呼応するように○○も銃の引き金を引いた。

 ところが―

―あっ、○○さんだぁ〜!

―やっぱり任務中でもカワイイな!

―おい!○○さんを撃つな!!他の三人を撃て!

 ○○の存在に気付いたU.B.C.S.隊員は○○に銃を向けず、ハンクたちを集中的に狙い始めた。U.B.C.S.隊員はみんな、報酬のサンプルを手に入れて○○に食べさせたいと、チーム一丸となって頑張っている。

 もの凄い人数のU.B.C.S.隊員。そのうちの何人かがベクターに掴みかかろうとしていた。

「やめてっ!」

 ○○は咄嗟にベクターを庇うようにそのU.B.C.S.隊員の前に出た。

「○○っ!!!」

 ベクターは声を荒らげた。自分を庇おうとする○○の腕を掴んで引き寄せ、己の体で包んだ。

―おい!やめろ!○○さんに怪我をさせるんじゃない!!残りの二人を狙え!!!

 U.B.C.S.隊員の標的が一気にハンクとスペクターに変わった。

―何であのフード野郎と○○さんが抱き合ってんだよぉーっ!!

―ざけんな!フード野郎!!

 U.B.C.S.隊員はベクターに対する気持ちをハンクとスペクターを攻撃することで紛らわしているようだ。“羨ましいんだよぉー!”とか“俺も次回はフード付きにするぜ!”という声も聞こえる。

「あっ!!スペクターっ!!!」

 ○○はスペクターを見て叫んだ。ベクターに守られているうちに、なんとスペクターがU.B.C.S.隊員にエビ固めをされているではないか。

「スペクター!・・・って、わぁ!ベクター!?!?」

 ベクターの腕から抜けてスペクターに近づいた途端、再びベクターを襲うU.B.C.S.隊員。

―何でお前なんかが○○さんに密着してんだよぉ!

―お前なんかフードとってU.B.C.S.の恰好したら、俺たちと変わらないだろーっ!!

―お前なんか、お前なんかカタツムリのくせにーっ!!

「俺はまだベクターのように密着してないだろうがっ!!」

 スペクターの苦しげな声が聞こえる。

 もの凄い数のU.B.C.S.隊員に襲われているベクターとスペクターを交互に見ながら、○○は困り果てた。

「そうだ・・・マスターきゃあっ!」

 U.B.C.S.隊員が投げたハンドガンがなぜか○○に当たってしまった。

 一瞬にして静かになる戦場。

―○○さんに怪我させるなって言っただろーっ!!

 U.B.C.S.隊員がU.B.C.S.隊員に襲いかかる、はっきり言ってバカな戦場。

「今のうちだ!」

 ハンクたちは次のフロアへと進んだ。


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